2017年5月31日水曜日

共謀罪の恐ろしいところ

「共謀罪の恐ろしいところは、心の中で思ったことまで取り締まることであり、犯罪者かどうかを決めるのは権力側です。自分は犯罪を犯す気がないから関係ない、安倍政権に近いから心配ないと思っている人も、いつ摘発される側になるか分かりません。治安維持法も、どんどん拡大解釈されて政権に都合の悪いものは片っ端から摘発対象になっていった。すべての言論機関が対象になり得るし、表現活動をしている人にとっては切実な問題です。およそ文化人、学者の類いが共謀罪に反対しているのは当然と言えます。国民の反対運動が広がり、支持率がガクンと下がれば、安倍政権もそう強引なことはできなくなる。暴走を止められるかどうかは、世論の蜂起にかかっています」

人はいずれ死ぬが、法律は死なない

「人はいずれ死ぬが、法律は死なない。子や孫の代にこの法律がどう使われるか」(作家・浅田次郎氏)

各省庁には「詠み人知らず」という分類の文書がある

ある副大臣経験者によると、各省庁には「詠み人知らず」という分類の文書があるのだという。およそ役人は、どんな会議や打ち合わせでも必ずメモを取るものだが、それをすべて清書して公的な文書としてファイルするかといえば、そんなことはない。政治家が無理難題を言ってきて、役人が裏技を駆使して違法すれすれで何とか処理した場合など、情報公開を求められて文書が表沙汰になったら大変だから、公的な文書としては残さない。

 とはいえ、何の記録も残っていないと、イザそれが何かの拍子に露見した時に、政治家がシラを切って役人に責任を押しつけようとするかもしれず、自分自身の安全保障のためにもメモを残して、ハードディスクの底かデスクの奥に取っておくことが少なくない。それが「詠み人知らず」文書で、大抵の場合は誰が記録したのか分からないようにしてある。

 いま加計学園事件を巡ってポロリポロリと出てきている文書は、どうもこの手のもので、菅義偉官房長官は表向き涼しい顔をしてこれを「怪文書」扱いにしてやり過ごそうとしているが、内心は戦々恐々で、誰が漏らしたのか徹底的な犯人捜しを命じて、これ以上のダダ漏れを防ごうと必死になっている。「ところが」と、ベテラン政治記者が言う。

「森友学園問題はエリート官庁の財務省だからまだ統制が利く。籠池前理事長側がどんな隠し玉を持っているのかだけが気掛かりだ。ところが加計学園問題は文科省と内閣府で、一流とはいえない官僚たちを相手に、官邸も四苦八苦している状態。そこへ、北村直人元自民党衆議院議員が朝日新聞の取材に応じて、自分の名前も出てくる文書に記されていることは『事実だ』と証言したので、官邸はほとんどパニックに陥っている」

 北村は自身が獣医師で、今も日本獣医師会顧問。医師会はもちろん、いかなる獣医学部の新設にも反対で、北村もそのために昨年秋には石破茂前地方創生大臣や山本幸三特区大臣と会って加計学園問題で話をしている。そのことが書かれた文書を当人が本物だと言っているのだから、怪文書として葬るのは難しくなってきた。22日にも共産党の小池晃書記局長が国会で、また文科省が作成したとみられる新たな資料を公表。それは政府関係者から入手したもので、これをもし怪文書と呼ぶなら、その政府関係者を国会招致せよと求めた。加計学園問題は、もはや堤防決壊寸前にまで達したようである。

シロもクロになる

「文書は間違いなく本物。大臣や次官への説明用として担当の高等教育局専門課が作成した」――。メガトン級の内部告発だ。加計学園の獣医学部新設を巡る「総理のご意向」文書について、文科省前事務次官の前川喜平氏が25日発売の週刊文春で「本物」と認定。安倍首相の「威光」をカサに着た内閣府サイドの圧力の実態をブチまけた。前川氏は同日の朝日新聞にも登場、TBSの取材にも応じていている。

 当時の文科省トップが「正式な文書」と認めた記録を、勝手に「怪文書」と決めつけた菅官房長官は国民に詫び、首を差し出すのがスジ。ところが、前川氏の“風俗通い”をネタに今なお開き直った強弁を繰り返す。とんだ恥知らずだ。

■官邸はいまだに「怪文書」扱い

〈官邸の最高レベルが言っている〉

〈「できない」という選択肢はない〉

 居丈高な態度で筋の通らない要求を強引に迫る内閣府・地方創生推進事務局の藤原豊審議官らの発言記録を一つ一つ、前川氏は文春の取材に「事実」と認め、知る限りの経緯を証言している。

 8年間で15回も申請を蹴られた獣医学部新設のスピード内定の出来レース。安倍の「腹心の友」の希望通り、行政が歪められた実態を前川氏は「『赤信号を青信号にしろ』と迫られた」と表現。問題の〈総理のご意向〉という言葉については、こう語る。

「ここまで強い言葉はこれまで見たことがなかった。プレッシャーを感じなかったと言えばそれは嘘になります」

 そして「『これは赤です。青に見えません』と言い続けるべきだった。本当に忸怩たる思いです」と反省の言葉を口にしているのだ。

 文科省の当時の最高責任者がここまで腹をくくって証言した以上、首相の“腹心の友”への便宜供与を裏付ける文書の内容は、ますます信憑性を帯びてくる。

 ところが、安倍官邸は懲りない。松野博一文科相がお手盛り内部調査で、「文書の存在は確認できなかった」と発表したのをタテに、菅官房長官は「出所不明」の怪文書扱いを続けている。

「官邸サイドが裏で繰り返すのは、前川氏が政権に怨恨を抱いているとのレッテル貼り。天下りの組織的あっせん問題の責任を取り、わずか半年の任期で依願退職に追い込まれたことに、前川氏は恨み骨髄。ありもしない文書をデッチ上げ、メディアに持ちかけた『自作自演』のシナリオを吹聴しています」(官邸事情通)

 そこに追い打ちをかけたのが、例の“出会い系バー”常連報道で、官邸サイドは「あんなハレンチ漢の証言を信用したら痛い目に遭うぞ」と、メディアに妙な“恫喝”を加えているという。

「安倍首相が『私が働きかけて決めているなら責任を取る』と大見えを切った手前、菅官房長官らは“怪文書”と言い張るしかないのでしょう。とはいえ、文書の信憑性と次官の風俗通いは無関係。政権が強弁すれば、シロもクロになるような振る舞いは、『恥を知れ』の一言です」(政治評論家・本澤二郎氏)

■待ち受けるさらなる暴露

 前川氏は、年商812億円を誇る世界的な産業用冷蔵冷凍機器メーカー「前川製作所」の御曹司で、妹は中曽根弘文元外相に嫁いだ“華麗なる一族”の出だ。

 当然、官邸の横やりで天下り先を失っても困らないため、政権の裏側で何が起きているのか、その腐敗の真相を遠慮なく暴露できる。

 すでに「告白の内容はまだおとなしい。昨年12月に新設が合意に至る直前の“ご意向”圧力は特に凄まじかったようです。まだ表に出ていない文書もあるはず。前川氏は面倒見がよく、人望がありますから、歴代次官OBや“奇兵隊”と称する後輩の現職官僚も味方しています」(文科省関係筋)との声もある。

 民進党も前川氏の疑惑追及チームへの出席や、国会招致も視野に入れている。さらなる決定打が飛び出せば、安倍首相は政権発足以来最大の窮地に立たされる。

木曽氏は次官室を訪ね、次のように要請した

 加計学園の獣医学部新設問題で、内閣官房参与(当時)の木曽功氏が、前川喜平文部科学省事務次官(当時)に対し、国家戦略特区制度で、獣医学部新設を進めるよう働きかけていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。

 前川氏によれば、昨年8月下旬、木曽氏は次官室を訪ね、次のように要請したという。

「国家戦略特区制度で、今治に獣医学部を新設する話、早く進めてほしい。文科省は(国家戦略特区)諮問会議が決定したことに従えばいいから」

 当時は、内閣改造で特区を担当する地方創生相が石破茂氏から山本幸三氏に代わった直後で、止まっていた獣医学部新設が大きく動き始めていた時期だった。

 木曽氏は、元文科省の官僚で、前川氏の3期先輩にあたり、14年4月から内閣官房参与に任命されていた。一方、16年4月からは加計学園理事兼千葉科学大学学長にも就任しており、加計学園の利害関係者でもあった。

 木曽氏は「前川さんと会い、様々な話をしたのは事実です。獣医学部の件も話したと思いますが、加計学園理事としてで、内閣官房参与として会ったわけではありません」と回答した。

 この問題では、前川氏は木曽氏の要請の翌月上旬に、和泉洋人首相補佐官から「総理が自分の口から言えないから、私が言うんだ」と特区推進を要求されたと証言している。

 官邸関係者による文科省への新たな要請が明らかになったことで、首相官邸からの圧力の有無が、さらに論議を呼びそうだ。

「週刊文春」6月1日発売号では、首相官邸からの圧力や“出会い系バー”に関する重要証言を掲載している。

(「週刊文春」編集部)

記者クラブ制度は廃止すべき

2016年4月19日、国連人権理事会が任命した特別報告者で「表現の自由」を担当するデビッド・ケイ教授が記者会見を行いました。質疑応答では、「記者クラブ制度そのものの廃止は提言されないのか」「日本政府から外国メディアに対する圧力はあったのか」「憲法21条への但し書きの追加についてどう考えているか」「編集者や経営者と話をする機会はあったか」「なぜ日本をターゲットに調査を行ったのか」といった会場の記者からの質問に対して回答しました。また、特定秘密保護法や、インターネットにおける表現の自由についても触れていきます。
シリーズ
「表現の自由」国連特別報告者 デビッド・ケイ氏 訪日調査後 記者会見
2016年4月19日のログ
スピーカー
国際連合人権理事会「表現の自由」特別報告者/カリフォルニア大学アーバイン校 デビッド・ケイ 氏
参照動画
「表現の自由」国連特別報告者 デビッド・ケイ氏 訪日調査後 記者会見

日本政府から外国メディアに対する圧力はあったのか

記者1 シンフリードニーデルと申します。オーストリアの新聞記者です。今回の訪日の中で、外国メディアに対する圧力についてお話はありましたでしょうか? 中でも、外務省からの圧力ですね。外務省からの歴史問題についての外国メディアに対する圧力についてのお話はありましたでしょうか?昨年なんですけれども、ドイツの記者が外務省から非常に強い圧力がかけられたという例がありましたので、それについてお話はありましたでしょうか?デビット・ケイ氏(以下、デビット) 正直に言いますと、今回の訪日においては、そういった話について聞くことは、ほとんどありませんでした。1つあったとすると、政府から外国メディアが、記者クラブの制度から排除されているというようなことについての話はありました。そのような排除が理由で、外国メディアとしての役割を果たすことが難しくなってきているというような話はありました。経済界においてもオープンになってきている傾向があるというような話も聞きました。しかし、具体的に外国メディアに関する圧力などの話はありました。私たちの包括としては、日本のメディア、そして日本のメディアについての独立の話が主なテーマでした。今回のドイツの例については、以前、聞くことはありまして、それについて外国メディアがどういう報道をしているかについても、来日する前からいろいろと調査させていただいているんですけども、今回の訪日の間では、そのような具体的な話はほとんどありませんでした。

憲法21条は日本国民が誇りを持つべき条文

記者2 神保と申します。1つ質問がございます。自民党の会見提案書についてなんですけれども、このようなことを検討する時間はあったでしょうか? これについてのご意見を伺いたいと思います。自民党の、会見のための提案書がありますね。その中で、やはり憲法21条(注:集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密)の改正についても触れられています。表現の自由について、これが今後も担保されるのであれば、むしろ1つ条文を21条に足したいと、「公益を害するものでなければ」という但し書きを最後に追加したいわけですよね。それが会見の提案書の内容となっています。日本のメディアと政府の関係やその仕組みをご覧になったわけですけれども、どういう影響があると思いますか? これから選挙があります。このような会見がなされ、実際に施行されるということが、本当に現実的な可能性としてあるわけです。もし、憲法改正が21条におよんだ場合には、どのようにお考えでしょうか?デビッド これについては時間を割きました。まずは我々が、自民党からの憲法改正提案書を読んで、勉強させていただきました。私の理解では、たしかに21条の改正は入っていました。その改正は、「公益、あるいは公共の秩序を害するようなことであれば、それは上記の限りではない」と書いてあります。これが3つ目のポイントとして追加されるわけですけれども、これが採択される可能性は非常に低いと思っております。なぜかと言うと、憲法を改正するためのプロセスが非常に複雑であろうと思うからです。ですから、憲法改正がなされる可能性は低いと思います。憲法21条は日本の国民のみなさまが誇りを持つべき条文だと思っています。とくに法律として、それだけでなく、この憲法21条があることによって、表現の自由という今の環境を作り上げることができたというこの事実をまず誇りに思うべきだと思うんです。ですから、このような素晴らしい憲法21条を改正しようというのは、非常に大きな問題になると思います。また、一貫性がなくなるということがあります。

多様な意見を許容する社会を作るべき

デビッド つまり、市民的及び政治的権利に関する国際規約19条(注:意見を持つ権利・表現の自由)で日本が批准したことに反対してしまうということになります。矛盾が起きるわけです。すべてのものはあらゆる種類の情報、考えをまとめ受け、伝える権利を有すると書いてあるわけですから、そこに、「ただし、公益の害にならないのであれば」なんて書いてしまうと、矛盾が起きるわけです。ですから、これは理論的にも脅威がありますし、理論的だけではなく、たとえば発言の自由といったことを弱体化させる懸念があると思っております。公共の場におけるデモ活動とか、とくに公益の秩序という、こういった言葉が条文に入ってしまうと非常に私は強い懸念を感じます。このようなことが含まれるのであれば、政治的キャンペーンにおいても大問題です。つまり、ICCPR、市民的及び政治的権利における国際規約の19条によって、政府が、政治的キャンペーンに対する制約をかけるということにおいては、非常に厳しい条文を書いているわけです。なので、日本国憲法第21条が改正されてしまうと、政治的キャンペーンに対して政府が制約をかけるということがより強力になってしまうのではないかと懸念します。実際にあるべき姿は、その逆です。政治的キャンペーンにおける政治の圧力は、緩和するべきであって、多様な意見を許容する社会を作るべきです。政治的にもいろんな意見があるわけですけど、特に選挙のときにおいても、政治的キャンペーン、発言の自由というというのは、むしろこのときに奨励されるべきものであります。政治的な議論を行い、政治的な方針が変わることによって、日本社会がどうなるのかということをしっかり議論するべきときであるからです。

経営者や編集者から受けた意見

記者3 ドイツのDPA(ドイツ通信社)の記者です。本日はありがとうございます。1つ短い質問をさせていただきたいと思います。本日、多くのジャーナリストの間に懸念があったという報告があったんですけれども、編集者ですとか、経営者と話をする機会はありましたでしょうか? 現場からの懸念について話す機会はありましたでしょうか?デビッド そうですね。私たちの対談者としては、現場のジャーナリストのみではありませんでした。それ以外にも、編集者、出版社、経営者、そしてNHKの理事会ではないのですが、高官の方とお話する機会がありました。現場からの意見とは異なるものがほとんどで、普遍的なものではなく、多様な意見があったんですけれども、そういった懸念があったのは、主に現場のジャーナリストからの懸念でした。経営者、または編集者からは少し異なった視点もありました。しかし、経営者の中でも、ある意味、違和感というようなことがあったんですね。例えば、高市大臣の発言に関して、もうひとつ例を申し上げますと、数年前、NHKの会長の籾井(勝人)さんがある発言をされたんですけど、たとえば国際的な放送の中では、メディアやNHKは、たとえば「政府が右をいうなら、NHKは左というのはあってはならないこと」だという発言があったと聞いております。そのようなことを現場のジャーナリストからだけではなくて、経営者または編集者からも、違和感のようなものを感じることがあると聞きました。ですので、こういったことからも、意見の多様性というのがあると思います。司会 私たちもいつも聞こうとしていながら、なかなか答えを得ることができないんですけれども、経営者などが記者クラブを、なぜオープンにしないのかについて、お話はありましたでしょうか?デビッド いえ、オープンにしないについての理由などの説明はありませんでした。

記者クラブ制度は廃止すべき

記者4 マーティン・フリッツと申します。関連の質問です。すみません、またドイツからの質問なんですけど。記者クラブについての質問を、私もちょうどしようとしておりました。放送法のこと、そして、ジャーナリストの組織を作ることを提言されていますが、記者クラブそのものが政府との密着、ある意味自粛などの原因のひとつになると思うのですが、記者クラブそのものの廃止は提言されないのでしょうか? それについてぜひ教えてください。デビッド 記者クラブ制度ですが、それは廃止すべきだと思います。本日配布させていただいている長い文書の中には、それについて言及しています。記者クラブの制度というのは、アクセスを制限するツールになってしまっていると思います。記者クラブに参加されている人たち、そしてその外にいる人たちと話をしてきたわけですが、私の理解ですと、ある意味、アクセスジャーナリズム(注:権力から情報をリークしてもらう見返りに、権力に都合の悪いことは書けなくなること)を促進しているような構造になってしまっていると思います。調査ジャーナリズムを制限されてしまっていると思います。ですので、メディアの独立を、ある意味、妨害していることになっていると思います。神保さんの質問に対して、記者クラブについてお話しようと思っていたことなんですけれども、記者クラブ制度そのものが、大手のメディア、そして政府がその制度を都合がいいと思っているんですね。記者クラブに入っている人たちは、いつでも記者会見に行ったときに、すぐに質問に答えてもらうこともできますし、そういったような関係があります。また、ある意味ではオフレコの制度があるというふうにも聞いております。大臣などとの話が定期的にオフレコで行われていると聞いています。もう少しオープンなかたちでディスカッションになっていると思うんですけれども、それへのアクセスがほとんど限られてしまっているということがあると思います。オフレコからのメモですとか、議事録などがメディアのある部分の人たちには回されているんですけれども、それはオープンにはされていないということがあると聞いています。ですので、メディアがその記者クラブの中で、どういうふうに動くのかというのが、残念ながら情報へのアクセスを弱体化していると思います。そして、日本の市民の情報へのアクセスですね。政府が何をしているのか、どういうふうに情報を入手できるのかということについても、市民の知る権利を制限されていると思います。

日本はインターネットにおける表現の自由のリーダー

記者5 松島佳子と申します。神奈川新聞です。すみません、質問は日本語で失礼します。2つ質問がございます。1つ目は、あらためて、なぜ日本を調査されたのかということをお伺いしたいと思います。表現の自由に関する特別報告者が日本を調査するのは、初めてとお伺いしました。日本の政府の招待があったということですが、調査すべきことがないと判断した場合には、来日は実現しなかったと思います。そういう意味で、なぜ、日本を調査する必要があると思ったかということをお伺いできればと思います。もう1点は、先週、日本に来日した直後に、報道の自由については、「まだオープンマインドだ」ということをおっしゃっていました。「いろいろな情報は聞いているけれども、これから調査をする段階なので、まだ何も答えられない」とおっしゃっていましたが、調査をしたあとと調査をする前とでは、報道の自由に関する印象というか、考えというのは何か変わりましたでしょうか?以上2点、よろしくお願いします。デビッド ご質問ありがとうございます。最初のご質問は、基本的に、なぜ日本がターゲットになったのかということですね。日本が調査の対象になったというのは、狙ったということではないのですが、過去数年において、日本における表現の自由に関するトピックがいくつか出てきたからです。報道の自由、そして私が出しましたこの予備レポートに書いてあるいくつかのトピックが、1つのホットトピックとして、日本で浮上していた。とくに、オンラインの自由について、インターネットにおいて検閲がほとんどないということ、インターネットの浸透率ということを考えますと、日本が表現の自由に関して問題のある国だということを一般的に言うつもりはなく、インターネットにおける自由度を考えると、1つのモデル国であるということも言えるわけです。ですから、こういった良いところ、それから議論になっているところを含め、日本を調査したいと考えました。今、世界を見ていきますと、オンラインにおける制約や検閲がますます強化されている時代なんです。そのような時代の中で、日本は、インターネットの自由がかなり確保されています。これは、とてもいいところであり、日本政府に対しては、リーダーになっていただきたいと、私は奨励したいと考えています。インターネットにおける表現の自由のリーダーであると考えていただきたいと思います。もちろん、なんらかの制約がインターネットにはあるわけですが、国別の比較をすると、日本は、自由度という意味で、非常に優位に立っています。

特定秘密保護法もふくめて多くの改善の余地がある

2つ目のポイントですが、「今はまだオープンマインドで結論は結ばないということを言った、でも印象はどうなのか」ということについてなんですけれども、1つポジティブな面として申し上げますと、インターネットの自由度、アクセスの度合いについては、ポジティブな話です。いい事実を確認することができました。日本インターネットプロバイダー協会のみなさんにもお会いしたんですけれども、やはり検閲とか制約といったことは懸念ではありませんと、むしろ技術的なことが心配事でありますと。ブロードバンドのアクセスをみなさんに届けるにはどうしたらいいとか、そういったことが懸念であると。あるいは、盗聴に関する法律が変わってしまったら、インターネットの自由度、オンラインセキュリティが担保されるのかといった議論は上がっていました。政府のサイバーセキュリティ担当者にもお会いする機会がありましたが、彼らもやはりサイバーセキュリティはインフラのセキュリティであると言っていました。また、個人のオンラインにおけるセキュリティでもあると、我々のコミュニケーションのセキュリティでもあると考えていらっしゃったわけです。これはポジティブな面でありまして、オンラインにおいては、本当に日本は、かなり重要な施作を実行している、現実にはそういったものがあるということを確認することができました。あとは、法律面でしっかりとインフラを設けて、この自由度が今後も持続されることを確認していただきたいと考えております。メディアの独立性については、たしかにオープンマインドで来日しました。もちろん事前に宿題はやっていました。事前調査を行っていたので、白紙の頭の状態で来日したわけではありません。しかし、考え方としてはオープンなマインドでみなさんに話を聞いたわけです。聞いた結果、私の懸念は、より強くなりました。ジャーナリストのみなさまとお話をし、日に日に、圧力を感じていますというような意見を聞きましたので。コントロール・圧力・制約・検閲といったこと、こういったことは、法律で明確に明文化されているものは何一つないのですけれども、実際に変えていただかなければならないことはたくさんあると考えています。具体的な事例を取ってしても、日本の法律、日本の政府は、いろんなことを変えていくことができると思います。たとえば、放送法を変えるとか、こういったことをやるために、もちろん票を取らなければいけないので、プロセスが簡単とは言いません。しかし、特定秘密保護法もそうです。かなり多くの改善の余地があると考えています。「公益、あるいは、公共の秩序を害する情報はこの限りではないです」とか、そう言った条文については、かなり改善の余地があると考えています。このような考えは、この1週間日本で過ごしたことによって建設された考えであります。こういった分野においては、日本は具体的な確固たるステップをとって、メディアの独立性をより強化する必要があると考えました。

メディアの独立性に関する問題

2016年4月19日、日本外国特派員協会主催により、国連人権理事会が任命した特別報告者で「表現の自由」を担当する米カリフォルニア大アーバイン校のデビッド・ケイ教授が記者会見を行いました。訪日後、約1週間に及び「ジャーナリストの権利保護」「日本国民の情報へのアクセス」「インターネットの自由」について調べていたケイ氏が、会見で調査の結果について発表します。日本政府によって脅かされる報道の自由、表現の自由の危機について語りました。
シリーズ
「表現の自由」国連特別報告者 デビッド・ケイ氏 訪日調査後 記者会見
2016年4月19日のログ
スピーカー
国際連合人権理事会「表現の自由」特別報告者/カリフォルニア大学アーバイン校 デビッド・ケイ 氏
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「表現の自由」国連特別報告者 デビッド・ケイ氏 訪日調査後 記者会見

日本での報道の自由がなくなっている

司会 みなさん、こんにちは。本日はたいへん多くの方にお参加くださりありがとうございます。今日も非常に関心の高いトピックでございます、刺激的な話が聞ければいいなというふうに思っておりますけれども。「ジャーナリズムが世界の暗い角をつっついていく」というふうにも思われているわけですけれども、そのようなことも含め、今日もいろんな話を聞けることになると思います。日本において、最近国際社会から、報道の自由がなくなっていることについての懸念が示されています。なぜかということを2月に話をされましたけれども、これは総務省の高市大臣のコメントが起因しております。(注:【全文】高市早苗氏「電波の停止がないとは断言できない」放送局への行政指導の可能性を示唆)「政治的公平性を欠く放送は電波を停止する可能性がある」という発言があったからです。このような発言がありまして、いろんなことが連続的に起きたわけですけれども、高市大臣は既知の事実を読み上げたまでだ、ということになっています。また、憲法改正の話もございます。やはり世界の報道の自由度についても、ランキングが非常に急激に下がっています。これもまた「誇張である」というふうに言われています。アジアのほかの地域に比べますと、日本の報道の自由というのはまだまだ確保されているというふうに言われているわけですけれども。このような議論を本日行うにあたり、国連の特別報告者であります、デビッド・ケイ氏をお迎えしております。意見および表現の自由に対する権利の促進と保護に関する報告をしてくれます。昨年の12月に外務省の招待を受けて来日する予定になっておりましたけれども、それが急遽日本政府からキャンセルがあったということです。それはいささか困惑する事実でありましたけども、招待した側からキャンセルをするということが昨年末起きました。そして、ついに今年の4月に来日が果たされたわけですけれども。デビッド・ケイさんからさっそくお話を聞きたいと思います。

幅広い情報源から学ぶことができた

デビッド・ケイ氏 ありがとうございます。そして、本日はみなさま来てくださり、誠にありがとうございます。まず最初に申し上げたいことがございます。それは国連の組織を代表いたしまして、先週の日本における地震災害のお見舞いを申し上げたいと思います。私もロサンゼルスから来ておりますので、地震による脅威は非常に共感するところであります。このような時期におけるみなさんのご不安な気持ち、心より共感いたします。ですので、あらためて、この度の震災により被災されたみなさまに、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。それから、外務省のみなさま方、私を今回、本日調査において招待してくださり、ありがとうございます。さまざまな会議を行ってまいりました。政府の関係省庁とも会議をいたしました。非常に今回のトピックにおける重要な省庁、それからその他のミーティングも行うことができました。これは外務省のみなさまのお力なくては実現することではありませんでした。また、市民団体のみなさまにもお礼を申し上げたいと思います。外務省のみなさんが私たちの訪日をアレンジしてくださったわけですけれども。それと同時に、さまざまな市民団体のみなさまに会えるように、つまり弁護士、ジャーナリスト、活動家のみなさま、それから学術界のみなさまを含め、多くの方々と会えるように調整をしてくださった市民団体のみなさんにも心からお礼を申し上げたいと思います。このようなみなさまのお力によって幅広い情報源から学ぶことができました。政府内外の関係者からお話を聞くことができたわけです。ですから、今回プレスリリースが出ておりますけれども、みなさまお受け取りいただいているはずでございます。そちらに書いてありますとおり、さまざまな関係者と話をし、多様な情報源からお話をうかがうことができました。

政府がネットの検閲をしていないことは非常に良い

一般論から入りたいと思います。それから具体論にいくつか入りたいというふうに思っております。表現の自由に関する話ですね。これはかなりの時間を、過去1週間に渡って割いてきたトピックであります。まず申し上げたいことですが、非常に明らかである事実があります。それは日本社会において表現の自由、それから意見の自由に対するコミットメントは非常に高いということであります。これは日本国憲法第21条に書かれております。「集会、結社及び言論、出版、その他一切の表現の自由はこれを保障する。検閲は禁止である」というふうに書かれております。ですから、市民的および政治的権利に関する国際規約に書いてあるとおり、日本はあらゆる情報をを伝える権利を有するということを徹底しようとしています。とりわけオンラインについては、グローバル・リーダーとしての立ち位置を確立されています。インターネットにおける自由度、日本社会における表現の自由・意見の自由、そして政府がオンラインの内容を検閲していないということについて、非常に良い状態であるということを確認しております。また、メインストリームのメディア、主要なメディア、それからとくに時事のメディアにおいては、今非常に大きな波を感じています。つまり、急激にメディアの独立性に関する問題が出てきているというふうに考えるわけですけれども、その中でいくつかのトレンドを取り上げたいと思います。とくに私は懸念を示したいところがあるわけですが、いくつかハイライトしたいと思います。

メディアの独立性に関する問題

今日はいただいている時間、本日FCJに来ておりますけれども、私に割り当てられた時間は限られていますので、「報道の自由」というところに大部分の時間を割きたいというふうに思っております。ということで、これは報道・出版、両方の自由についても確認をしていきたいと思います。それから特定秘密保護法についても話をしたいと思います。他のトピックもカバーし、そしてみなさんからの質問をお受けしたいと思います。では、1点目の報道・出版の自由についてなんですけれども。日本におけるメディアを今フォローしていらっしゃるみなさんは、それが日本のメディアであれ、海外のメディアであれ、それを見ていらっしゃるみなさんは気づいていらっしゃると思います。それはメディアの独立性に関する問題です。今週ジャーナリストのみなさまから話を聞きまして。そのジャーナリストというのはさまざま企業に所属するジャーナリスト。放送局、それから出版社のジャーナリストのみなさんとお会いしたわけですけれども、独立性を持ってレポートをすることが難しいと。とくに、政府に関するデリケートな内容については、非常に独立性を持った状態で報道することが難しいという声を聞きました。この懸念のハイライトなポイントは、まずは多くのジャーナリストが冒頭から「匿名です」というふうにおっしゃるわけです。私に情報を与えるにあたり、「まずは匿名でお願いします」ということをおっしゃるんですね。もちろんジャーナリストとしては、みなさまのキャリアもありますし、立場、メディアのエコシステムにおける立ち位置というのは確保されているのに、「まずは匿名で」とおっしゃるというのは異例のことであるというふうに考えます。報道、それから出版のメディアについて分けて話すべきなんですけれども、あとでまとめて話をしたいと思います。まず、報道のメディアのほうですけれども、基本的にこれは合法であるということ。メディアの能力、メディアの意欲として、権力のある者から法律的に非常に曖昧な部分があるということです。

放送法そのものが政府の規制を許容している

とくに放送法に関連するところなんですが、放送法4条なんですけれども、そこに書かれてあることは、やはり「政治的公平性が必要である」というふうに書いてあります。これについて、これは確かに法律上は「合法の義務である」というふうに書かれています。そういうふうに書かれているというふうに解釈できるということなんです。ですから、放送法の174条を考えますと、放送法4条の法律違反があれば、放送法174条に従って政府がなんらかの意見を示すことがあるということです。停波の可能性もあるということを含め、これは非常に大きな懸念であるというふうに考えます。放送法そのものが政府の規制を許容しているということを示しているからです。もちろんこれに対する反対意見もあると思います。それなりの正当性のある反対意見もありまして。先ほど申しました放送法の4条と、放送法の174条における実際の刑罰についても、それぞれの関係について議論することもできますが、やはりそもそも「停波することができる」と書かれていること自体が問題であるということ。そして、さまざまな放送メディアのみなさんからの話を聞いたところ、ジャーナリストのみなさまがおっしゃるには、過去に、例えばある条項が実施されなかったことがあったとしても、一切それによって罰がくだされたことはなかったという事実があったとしても、やはり脅威である、と。それがあることによって、強い意見でもって、メディアの力を行使することができなくなる。弱体化するということをおっしゃっていました。ですから、やはりこの放送法は一部改正する必要があるというふうに考えております。例えば、4条そのものを取り消すということです。政治的公平性を判断するということは非常にオープンな議論を要求するものであります。公平なのか・公平ではないのかというのは本当に大きな議論を要するところであって、それを政府がコントロールするということであってはならないというふうに考えています。また、メディアは、そもそも独立性のあるサードパーティによって規制を設けるべきであります。もちろんそのサードパーティというのは、政府が指定するサードパーティであってもいいわけですけれども、政府そのものが規制を放送に及ぼすことはあってはならないというふうに考えます。もちろん放送メディアについては、Q&Aにおいて、さらに話をしたいと考えていますけれども、とりあえず放送はここでおきまして、出版の話をしたいと思います。

メディアと政府の間に緊張感があることは健全

この出版についてもやはり同じようなプレッシャーがありました。圧力を感じているとジャーナリストがおっしゃっていました。出版ジャーナリストのみなさんですね。どんな圧力か、そして出版社の経営者が非常に曖昧なコミュニケーションを出そうと。つまり、デリケートな記事はそもそも書かないようにしようと、あるいは少なくともジャーナリストが、政府に対して厳しい立場に追いやられるものを出版することはやめようというような圧力があったという声は散見されました。ここで1つ思うのは、普通は、このようなメディアに対する攻撃というのは起きるわけです。民主主義におけるメディアに対する攻撃というのは起きます。これは普通であります。そこに緊張感があるということも正常であり、むしろ健全であるというふうに考えています。メディアと政府の間の緊張感は健全であります。メディアのみなさんはそもそもそういった状況の中で、独立してオペレーションを行うということが求められているのだと思います。ただし、ジャーリズムのシステム、メディアのシステム、その構造そのものが、日本においては、どうやらジャーリストに独立性、あるいは政府対してプッシュバックをすることを必ずにも許容しないようなことが書かれてあります。つまり、例えばですけれども、記者クラブのシステムについても勉強いたしました。また、独立メディアのトップの経営幹部が政府の幹部と会っていると。こんな話を何度も何度も今週聞くことになりました。ですから、ジャーナリストのみなさまに奨励したいのは、みなさまがよりプロフェッショナルな組織となるべく、メディア横断の組織を設立し、あるいはあるとしたら、それを強化し、メディアを包括する団結力・結束力みたいなものを体現する組織を作られるということを強く奨励したいと思います。例えば、報道委員会(Press Council)ですとか、報道理事会ですとか、そういったものを作りまして、プロのジャーナリズムのメディアという1つの集団として、各会社横断で組織として団結・結束するということによって、政府に対する独立性をさらに強化するということを奨励したいと思います。もう少し例をお示ししたいと思います。あまり長くするつもりはありませんが、これは明らかに表現の自由に関連することです。また、それだけではなく、メディアに対する暗雲のようにかかるプレッシャーについてです。まずは特定秘密保護法についてなんですけれども、これについては非常に強力な議論を政府のみなさんと行うことができまして。この特定秘密保護法の解釈は必ずしもそんなに解釈することが容易ではありません。でも、これをどう解釈するかということについては、かなりの時間を要して政府のみなさんと話をいたしました。2つポイントをハイライトしたいと思います。

もっとも国民の関心が高い部分が規制されうる

1つ目の懸念なんですけれども、それはジャーナリストが持っている保護なんですけれども。つまり非常にデリケートな、例えば日本の安全保障政策に関する何か記事を書くですとか、震災に対する準備、あるいは原発に関する政策とか、こういった非常にセンシティブなことをジャーナリズムが記事にするときには、ジャーナリストは保護されているわけです。でも、こういった関心事は、日本の国民のみなさんにとって、もっとも関心の高いトピックだと思うんですね。にも関わらず、ここがまさに、この特定秘密保護法のもとで機密であるということで、情報の開示を規制されうるホットトピックでもあるということ。偶然なのかわかりませんが、どうももっとも国民の関心が高い部分が規制されうるというところです。ですから、ジャーリズムのみなさんに対して厳しい罰はないということ。そんな話を解釈をしながら言うのではなくて、やはり法律を変えるというところから根本的に手を打つことがよいというふうに考えております。

内部告発した人を守る力が弱い

もう1つは、公益通報者保護法についてですけれども。これは内部告発に対する保護の法律でありますけれども。やはり一般社会に対して情報を届けようとするジャーナリストのみなさんに対して、内部告発に関する、守ろうという力が非常に弱いというふうに考えております。それは特定秘密保護法も含めてですけれども、公益通報者保護法もやはり実態としての力は弱いというふうなことを懸念と考えております。結局のところ、内部告発をした人は良心から行ったことによって罰せられる、ということが起きる可能性がまだまだあるということなんです。それ自体問題ですけれども、さらにもっと問題であるのは、日本の国民のみなさんが情報にアクセスすることができないということであります。そのほかにもいくつか問題を出してまいりました。私は予備的なレポートを出しましたので、英語の比較的長い文章がありまして、この和訳も出る予定がございます。ですから、まだ英語のほうしかご覧になってないかもしれませんけど、あるいはプレスリリースをご覧になって、表現の自由、意見の自由についてのみなさんのご質問をお受けしたいと思います。すでに私10分超えてしまったと思いますので、ここでいったん止めたいと思います。皆さんの質問をお受けしたいと思います。

国連人権理事会の特別報告者、デービッド・ケイ氏

 萩生田光一官房副長官は31日午前の記者会見で、国連人権理事会の特別報告者、デービッド・ケイ氏が日本の「表現の自由」の現状についてまとめた対日報告書について、「日本政府の立場が十分に反映されていない内容の報告書が公表されたことは、極めて残念だ」と述べた。
 報告書は英語版で計19枚。メディアへの政府の直接的・間接的な圧力に対する懸念などが盛り込まれているが、萩生田氏は報告書が指摘している報道の独立性や歴史教育への介入などの論点に関しては、政府の立場についてこれまでケイ氏に丁寧に説明を重ねてきたと強調した。
 萩生田氏は「政府としてはわが国の状況が正しく理解されるように、引き続き特別報告者との対話を継続していきたい」とし、国連人権理事会の場などでも説明をしていく考えを示した。

「加計学園疑惑調査チーム」の会合

https://freshlive.tv/thepage/119250 5月25日(木) 17:30 - 18:47
https://freshlive.tv/thepage/118813  5月24日(水) 10:28 - 11:44
「加計学園疑惑調査チーム」の会合

「一般人は共謀罪の捜査の対象にならない」はやはり大嘘

「一般人は共謀罪の捜査の対象にならない」はやはり大嘘でした。詳細は以下から。

金田勝年法相は5月29日の参議院本会議で、環境や人権の保護を掲げる団体でも実態が組織的犯罪集団と認められれば構成員が処罰対象になる可能性があると認めました。
金田法相はこれまで「自然環境や景観の保護を主張する団体は目的が正当と考えられ、重大な犯罪を実行することにあるとは考えられず、座り込みを計画しても処罰の対象にならない」と発言しており、ここに来て説明が180度変わってしまいました。
参院本会議で金田法相は「対外的には環境保護や人権保護を標榜していても、それが隠れみので、結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる場合は処罰されうる」と指摘し、そうした団体の構成員は「一般の方々とは言えないことは当然だ」と明言。
ではいったいどのようにして「結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる」のかに関しては「捜査機関が刑事訴訟法の規定に従い収集した証拠に基づいて、社会通念に従って判断して認定する」とした上で「組織的犯罪集団だと確実に認められなくても、その嫌疑が客観的にある場合、捜査を開始できる」と発言しました。
共謀罪は双眼鏡や地図を持って花見に行っただけでも犯行の下見扱いされてしまうことはこれまでの審議で明らかにされてきましたが、やはり結局のところは捜査機関の胸三寸で認定されるかどうかが決まってしまうことになり、捜査機関に嫌疑を掛けられた時点で捜査が始まります。
共謀罪の277の対象犯罪には組織的威力業務妨害罪なども含まれており、共謀罪が成立する前の現時点ですら市民団体のメンバーに威力業務妨害罪が適用される場合があります。もしこのまま成立すれば威力業務妨害が実際に行われなくとも、そうした行為を共謀したとして捜査・逮捕される可能性が飛躍的に高まります。
安倍首相は「処罰範囲は明確かつ限定的で、捜査機関による恣意的な運用はできない。テロ等準備罪の創設は国民の権利、自由を不当に制約するものではない」などと言明していますが、残念ながら共謀罪がテロ等準備罪でないことは既に暴かれていますし、「国民の権利、自由を不当に制約」しないという法的根拠はどこにもありません。
また、、民進党の小川議員の「構成要件的には2人の者が共謀すればいいとなっているが、2人以上であれば団体の要件を満たすのか」との質問に金田法相は「ご指摘の通り満たす」と明言。ただ友人や同僚、家族と1対1の会話ですら共謀罪の構成要件を満たしてしまうというとんでもない代物であることが判明しました。
一方でローンウルフ型と呼ばれる単独テロ犯に対してこの共謀罪が全くもって無力であることは既に各所で指摘されているとおり。2トントラックとダガーナイフで17人を死傷させた秋葉原通り魔事件のようなタイプのテロを防ぐことは不可能です。
共謀罪ではテロ対策にはならず、単に推定無罪という日本の刑法の大原則を崩壊させて国民の権利と自由をを不当に制限するだけです。いったい安倍政権はなぜこの法案を十分な審議も行わず、国民の理解も得られない状況で拙速に成立を目指すのでしょうか?極めて不可解と言わざるを得ません。

証人喚問を拒否する理由がどこにある

圧力がないのであれば証人喚問を拒否する理由がどこにあるのでしょうか?潔白を示す絶好のチャンスをなぜ活用しないのでしょうか?

安倍首相は5月29日の参議院本会議において、自身の親友が理事長を務める加計学園の獣医学部新設問題に監視、政治的圧力を「規制改革項目の追加、事業者の選定いずれのプロセスも関係法令に基づき適切に実施しており、圧力が働いたことは一切ない」と強く否定しました。
しかし、「総理の意向」があったことを証言し、「行政がゆがめられた」と明言した前川喜平前文科事務次官の証人喚問は「国会でお決めいただくことだ」となぜか拒否、文書についても「該当する文書は確認できなかった」と説明しました。
文書がないのであれば前川氏が嘘をついている事となり、偽証罪の成立する証人喚問を行えば加計学園問題に万人が認める決着を付けることができるため、圧力はなかったとする政権側とすればこれ以上の機会はないはず。
しかし既にBUZZAP!でも詳報したように、極めて不自然で迅速な獣医学部新設に向けた動きが起こっていたこと、そして文書の存在を文科省の幹部も認めており、証人喚問を認めないのであれば、政権側が100億円にも上る私たち日本人の税金を親友のためにつぎ込んだことを暗に認めることになってしまいます。
また、安倍首相は3月13日の参議院予算委員会で福島みずほ議員の質問に
でも彼(加計孝太郎理事長)から私頼まれたことはありませんよ、この問題について。ですから働きかけていません。これははっきりと申し上げておきます。働きかけていると言うんであれば、何か確証を示してくださいよ。
私はもし働きかけて決めているんであればこれは私責任取りますよ。当たり前じゃないですか。
と答えている事から、示された確証に対して誠実に事実関係を調査し、働きかけが認めているのであれば責任を取って辞任する必要があります。上記発言は動画の16:18から。加計学園についての質問は4:15頃から始まります。
自らの進退に付いてまで国会という国権の最高機関で明言している以上、この問題をうやむやにする事は許されるものではありません。一刻も早く前川氏を証人喚問し、首相は疑惑を晴らす必要があるのではないでしょうか?

週刊新潮からの質問状を北村滋内閣情報官に相談か→週刊新潮にメール誤転送で発覚

確定ならもはやジャーナリストと呼べないレベルのズブズブ具合です。詳細は以下から。

28歳女性への「昏睡レイプ事件」で準強姦逮捕状が出されていながらも、逮捕直前に官邸と繋がりの深い中村格警視庁刑事部長(当時)の独断によって握り潰されたとする週刊新潮の官邸御用ジャーナリストとして有名な山口敬之へのスクープは大きな波紋を巻き起こしました。
その言い訳のFacebook投稿に安倍昭恵夫人が「いいね!」を付けていたことなどが5月25日付けの週刊新潮が続報として伝えていますが、記事内のひとつのエピソードが山口敬之と官邸のズブズブ具合を如実に示していると物議を醸しています。
それが週刊新潮に「返信」された山口敬之からのメール。新潮社はこのメールが届く前に取材依頼書をメールで送付しており、これに返信したものであるとのこと。内容は
北村さま、
週刊新潮より質問状が来ました。
■■の件です。取り急ぎ転送します。
山口敬之
というもので、■■の部分には被害女性の名字が入ります。文面からも分かるように、これは山口敬之から「北村さま」への転送メールを送ろうとしながらも週刊新潮に「返信」してしまったという誤爆案件です。
まずこの文面から分かるのは、当然ながら「北村さま」は山口敬之が「昏睡レイプ事件」に関して知恵を借り、判断を仰ぐ相手であるということ。
次に分かるのは「■■の件です。取り急ぎ転送します」という部分から、既に山口敬之と「北村さま」が本件について逐次の情報共有を行っているということ。さらに情報の付け足しがないことから、「北村さま」が週刊新潮のスクープ以上に内情に通じているということです。
さらにこのメールをビジネスメールとして考えれば、部署や役職も付けず、フルネームすら用いず、「様」という漢字も使わず「北村さま」と呼びかけていること、「山口敬之です」といった書き出しや「よろしくお願い致します」といった結びの言葉もない、極めてフランクなメール文面であることが分かります。
これは一般的には社内メールの書き方であり、他社や場合によっては上長に対してこうした文面でビジネスメールを送ることは失礼に当たります。
つまり、この文面を送りつけた相手の「北村さま」と山口敬之は非常に近しい間柄であることが見て取れます。
ここで名前が上がってくるのが北村滋内閣情報官。内閣情報調査室のトップを5年も務め、2017年の首相動静に54回も登場する、名実ともに安倍首相の懐刀。特定秘密保護法や蓮舫問題、都知事選での鳥越俊太郎候補の醜聞問題などにも深く関わっているとされる人物です。
ジャーナリストの名の下に安倍政権を擁護するコメントを出し続けてきた山口敬之が、実際に安倍首相の側近である内閣情報官と「ズブズブの関係」であれば、もはやこの人物をジャーナリストと呼ぶことはできません。
当然ながら山口敬之も北村滋内閣情報官も週刊新潮の追求にはしらを切っていますが、それで済むような問題ではありません。
実際に官邸と繋がりの深い警視庁刑事部長による不可解な逮捕の直前での山口敬之の握り潰しが行われており、ここで北村滋内閣情報官と山口敬之の繋がりが認められれば、首相官邸が子飼いの「ジャーナリスト」の準強姦という重大犯罪の捜査を妨害したということになります。
権力者に近い人物であれば数億円単位の便宜を図られるだけでなく、刑事犯であってももみ消せるというのであれば、もはやその国は法治国家と呼べる存在ではなくなってしまいます。

単なる凡ミスをあげつらうだけでなく、徹底した内容の究明が必要です。

菅官房長官の暴走が止まりません

菅官房長官の暴走が止まりません。どうしてしまったのでしょうか?詳細は以下から。

国際組織犯罪防止条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約)を締結するために必須とされた共謀罪について、なぜか菅官房長官が国連からの書簡に激怒して強く抗議するという行動に出たことは大きな衝撃をもって迎えられました。
本件については先日BUZZAP!でも内容を詳しく報じています。
菅官房長官は「プライバシーの権利や表現の自由などを不当に制約する恣意的運用がなされるということはまったく当たらない」という「菅官房長官語」を振りかざして強弁するのみで、恣意的運用がなされないという法的根拠を読み取れる部分は一切ありませんでした。
公開書簡を送ったジョセフ・カナタチ特別報告者はロイター通信へのEメールの中で菅官房長官の反論を「怒っているだけで中身がない」と断じた上で「日本政府のこうした振る舞いと、欠陥のある法律の成立を無理に押し通そうとする姿勢は絶対に正当化できるものではない」としています。
完膚なきまでに反論を叩き潰された菅官房長官、なんと今度は陰謀論にまで手を染めてしまいました。5月24日の記者会見で書簡に対して「何か背景があって(書簡を)出されたのではないかと思わざるを得ない」と述べてしまったのです。
もちろんこれはなんら根拠のない憶測でしかありませんし、国連の特別報告者に対する誹謗中傷であることは言うまでもありません。この場合はあらぬ疑惑を掛けた菅官房長官及び日本政府側に立証責任がありますが、証明できなかった場合にどう落とし前を付けるつもりなのでしょうか?
また、菅官房長官はジョセフ・カナタチ特別報告者がロイター通信へのEメールの中で反論したことに対して「国連事務所を通して(反論して)いない。報道機関を通じての発表で、手続きは極めて不公正だ」などと不満を露わにしていました。
しかし安倍首相は衆議院予算委員会の集中審議において、2020年の憲法改正に関して
自民党総裁としての考えは相当詳しく読売新聞に書いてありますから、ぜひそれを熟読していただいてもいいんだろうと
と発言しています。この時安倍首相は憲法改正についての意見が「自民党総裁」という私人の立場での考えであり、読売新聞という報道機関の記事を熟読するようにと国会という国権の最高機関で述べているわけです。
一方、菅官房長官は特別報告者を(実際は勘違いですが)個人呼ばわりしていながらも「国連事務所を通して(反論して)いない」事を「手続きは極めて不公正だ」などと批判しており、見事なまでの巨大ブーメランが後頭部に突き刺さってしまいました。
残念ながら菅官房長官の発言は明確なダブルスタンダードであり、その上に陰謀論にまで染まっているという極めて残念な状況となっています。
日本のメディアはこうした政府の失態も優しく忖度してオブラートに包んで報道してくれるかも知れませんが、海外でも通用すると考えているのであれば、まさに井の中の蛙ということになってしまうのではないでしょうか?

なぜか菅官房長官は国連からの書簡に激怒して強く抗議

国際組織犯罪防止条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約)を締結するために必須とされた共謀罪ですが、なぜか菅官房長官は国連からの書簡に激怒して強く抗議しました。詳細は以下から。

◆共謀罪の目的は「国際組織犯罪防止条約」締結のはずが…
政府が共謀罪の成立を急ぐ根拠として最重視している国際組織犯罪防止条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約)。これはいわゆる国連条約のひとつであり、2000年11月15日、国際連合総会において採択された条約です。
しかし、人権状況などを調査・監視する国連特別報告者が共謀罪にはプライバシーや表現の自由を制約するおそれがあるとし、4つの質問を行った安倍首相宛の書簡に対して菅官房長官は「不適切なものであり、強く抗議を行っている」と発言しました。
国連条約である国際組織犯罪防止条約を締結するために必須とし、国内法の概念を全く変質させてしまう重要法案にも関わらず、ろくな審議も行わないまま委員会で強行採決までしておきながら、実際に当の国連からの指摘や質問に対してなんら回答も行わず、「強く抗議」するとは全く意味不明です。
本当に国際組織犯罪防止条約を締結したいのであれば、国連からの指摘を真摯に受け止め、質問に誠実に回答するのが当然です。書簡内で「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と指摘され、「法案の成立を急いでいるため、十分に公の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」と議論の不十分さが懸念されている以上、法案を差し戻して公の議論を十分に行い、プライバシーや表現の自由が制約されないように条文の改正を行うのが条約締結のための本筋のはず。
しかし菅官房長官は「プライバシーの権利や表現の自由などを不当に制約する恣意的運用がなされるということはまったく当たらない」という「菅官房長官語」を振りかざして強弁するのみで、恣意的運用がなされないという法的根拠は皆無です。
公開書簡を送ったジョセフ・カナタチ特別報告者はロイター通信へのEメールの中で菅官房長官の反論を「怒っているだけで中身がない」と断じた上で「日本政府のこうした振る舞いと、欠陥のある法律の成立を無理に押し通そうとする姿勢は絶対に正当化できるものではない」としています。
この書簡に対する京都大学の高山佳奈子教授らの指摘は以下の動画から見ることができます。
◆菅官房長官の特別報告者への大きな勘違い
さらに菅官房長官は「特別報告者という立場は独立した個人の資格で人権状況の調査報告を行う立場であり、国連の立場を反映するものではない」としていますが、これは大きな勘違い。
「特別報告者(Special Rapporteur)」とは国連人権委員会が設ける言論の自由、拷問、食糧確保の権利、教育の権利などのような特定の人権のテーマや、特定の国家・地域の状況に関する作業部会において、国や地域を訪問して調査、監視、助言、報告書の公開といった「特別手続(Special Procedures)」を実行するために国連人権委員会委員長が任命する専門家のこと。
特別報告者は人権高等弁務官事務所から支援を受けて無給で、いずれの国家又は地域からも独立した専門家として活動する存在であり、決して単なる個人の意見を発しているわけではありません。
安倍政権では安倍昭恵夫人を私人であると閣議決定したり、安倍首相さえも自民党総裁として私人の立場で改憲日程を示すなど、都合に合わせてころころと公人と私人の立場を使い分ける詭弁がまかり通っています。
同様の詭弁が海外にも通用し、あまつさえ国連の特別報告者を単なる個人呼ばわりしてまともに相手にされると思っているのであれば、世界に向けて大恥を晒してしまったことになります。
また、菅官房長官は「政府や外務省が直接説明する機会はない。公開書簡で一方的に発出した。法案は187の国と地域が締結する条約の締結に必要な国内法整備だ」などと反論していますが、公開書簡で指摘され、質問された以上は正々堂々と指摘に反論し、質問に答えるのがまともな国家のあり得べき姿です。
◆書簡に回答しないなら何のため、誰のための共謀罪か
国際組織犯罪防止条約という国連条約の締結に必要だとする共謀罪が、当の国連からプライバシーや表現の自由の制約の懸念を示されている以上、これを無視どころか抗議まですることが日本の国益に適わないことは火を見るよりも明らかです。
また、この書簡に誠実に対応しないのであれば、政府の述べる「国際組織犯罪防止条約の締結に共謀罪が必須」という理屈は完全に崩壊することにもなり、これまでの説明が全部嘘だったということにもなります。もちろん「共謀罪はテロ対策である」という安倍首相の発言も既に嘘であることが判明している以上、これも嘘だったという結果になっても全く不思議ではありません。
であれば、共謀罪はいったい何のため、誰のために制定されるのでしょうか?

政治家の汚職や権力の私物化に対しては適用対象となっていないことが指摘されました

共謀罪が一般市民にも適用されることが明言される一方、政治家の汚職や権力の私物化に対しては適用対象となっていないことが指摘されました。詳細は以下から。
◆「テロ等準備罪」ではないと自民党が認める
共謀罪が「テロ等準備罪」ではないと、共謀罪の取りまとめを行っている自民党法務部会長の古川俊治議員が明言したことは先日BUZZAP!でもお伝えしたとおり。
また、この共謀罪ではローンウルフ型と呼ばれる単独犯によるテロ計画や単発的な集団のテロが射程に入っておらず、実際問題テロ対策としては大き過ぎる穴が存在しています。秋葉原無差別殺傷事件のように、ひとりでトラックとナイフを用いてテロを起こそうと考える相手には完全に無力となります。
◆一般市民も対象となると国会で明言
安倍首相の「一般市民が対象となることはありえない」という印象操作も、金田法相の「一般市民は、『組織的犯罪集団』という定義に入らないということでいいのか」との国会での質問に「団体の性質が一変したと認められなければ、組織的犯罪集団と認められることはない」と回答したこと、法務省が「正当に活動する団体が犯罪を行う団体に一変したと認められる場合は、処罰の対象になる」と公式見解を出したことから嘘と判明しました。
その後も4月21日に盛山正仁法務副大臣が民進党の逢坂誠二議員の「組織的犯罪集団と関わりがない人でも、嫌疑が生じた段階では捜査の対象となる可能性を否定できないのでは」と質問に対して「一般の人が対象にならないということはないが、ボリュームは大変限られたものになる」と答え、一般市民が対象になる可能性があることを改めて認めています。
対象となる「犯罪」についても277(300以上だとの異論あり)と極めて広範に及んでおり、反対声明を出した日弁連の海渡雄一弁護士によると、例えばブラック企業を批判するビラを撒こうとするだけでも、法案の条文上「組織的信用毀損罪の共謀罪」になり得るとしています。
これだけではなく対象犯罪には著作権法違反や種苗法違反なども盛り込まれており、「同人誌作ろう」や「キノコ狩り行こう」といった日常的な行為を計画し、準備するだけで一般市民に共謀罪が適用されることが条文から明らかになっています。
このように、共謀罪がテロ対策のために必須だというのは印象操作に過ぎず、一般市民が対象とならないというのも条文から大嘘であることが既に判明しています。しかも、その対象は極めて広範で曖昧。捜査当局が恣意的に運用して一般市民を監視・捜査する事ができるようになっているのです。
◆政治家の汚職や権力の私物化に対してはガバガバ
ですが、対象とならないはずの一般市民を強く規制するこの共謀罪は、政治家の汚職や権力の私物化、そして企業による経済犯罪が対象犯罪から注意深く除かれていることが明らかにされました。風営法問題に尽力したことでも知られる京都大学の高山佳奈子教授が4月25日に共謀罪に関する参考人招致で答弁しています。
高山教授は共謀罪の対象犯罪から公職選挙法政治資金規正法政党助成法がすべて除外されていることを指摘。つまりは汚職の相談をして「こんにゃく」を準備していたとしても、実際に渡さなければ対象とはならないということ。
森友学園問題を見れば分かるように、とある組織が何らかの便宜を求めて政治家に働きかけることは見逃してはならない組織犯罪のはず。キノコ狩りという個人の趣味レベルの微罪が対象犯罪であるにも関わらず、国家や地方自治体を動かす政治家の関与する公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法が除外されていることはおいそれと納得できる話ではありません。
また、森友学園に関して財務省が契約文書などを隠蔽し、一部については破棄したと答弁している事が大きな問題となっていますが、国民の資産でもある公文書を隠蔽、破棄する公用文書電磁的記録の毀棄罪も「丁寧に」除外されているきめ細かさには驚かされます。
◆警察・検察の職権乱用も対象犯罪から除外
また、同時に警察や検察などの職権乱用に対する特別公務員職権濫用罪暴行陵額罪も権力を盾にした極めて重い犯罪ながら除外されている事も明らかにしました。
一般市民にとっては、いったん捜査当局によって捜査対象となり、逮捕・拘留された場合に原状復帰までに時間がかかることはBUZZAP!が追い続けてきたClub NOONを巡る訴訟を見れば極めて明白。例えば「無許可で客を踊らせた」として風営法違反容疑で摘発されたNOON元経営者の金光正年さんは最高裁で無罪を勝ち取るまでに4年以上掛かっています。
◆企業による経済犯罪も軒並み除外
政治家、捜査当局に続いて、企業などによる経済犯罪も共謀罪の対象犯罪からは省かれています。高山教授は一般に「商業賄賂罪」と呼ばれて諸外国で規制される流れとなっている、会社法金融商品取引法商品先物取引法投資信託投資法人法医薬品医療機器法労働安全衛生法貸金業法資産流動化法仲裁法一般社団財団法などの収賄罪が対象犯罪から除外されていることを指摘。さらには基本的に組織的な違反となる酒税法石油税法違反も除外されています。
高山教授の参考人招致での実際の答弁動画は以下から。
◆結局のところ共謀罪って何のための法律?
繰り返しになりますが、この共謀罪が安倍首相らが当初必要だと主張した理由である「テロ等準備罪」ではないことは既に自民党法務部会長によって明言されており、国会での答弁から「一般市民が対象となることはありえない」という言葉も嘘と判明しました。
それどころか、対象犯罪とならないのは政治家の汚職や公権力の私物化、警察や検察などの捜査当局による職権乱用、企業の経済犯罪など。つまり、共謀罪が監視し、言動を強く規制して計画・準備段階から犯罪を取り締まるメインターゲットは一般市民ということになります。
また、4月21日には衆院法務委員会で、質問に答えられなくなった金田法相の代わりに法務省の林真琴刑事局長が代わりに回答しようとする場面があり、その際野党理事らが鈴木淳司委員長の席に集まって対応を協議したところ、自民党の土屋正忠理事が「あれは、テロ等準備行為じゃねえか!」とヤジを飛ばした事件がありました。
野党議員が国会内で相談しているだけで「テロ等準備行為」であると自民党議員が認識するのであれば、共謀罪が成立した際にいったいどのような運用がされるのか、決して軽く見ることはできません。

再び繰り返しになりますが、一般市民にとっては有罪判決が下されなかったとしても逮捕され、半月以上拘留されるだけでも下手をすれば仕事を解雇され周囲から悪評を立てられるなど、生活に極めて大きな支障をきたします。共謀罪がこのまま成立すれば日本社会で言論の萎縮が起こるのは必至です。

2017年5月30日火曜日

いまは言えない   ?

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計(かけ)学園(岡山市)が国家戦略特区で獣医学部を新設する計画について、文部科学省の前川喜平前事務次官が在職中の昨年秋、首相補佐官に呼ばれて開学の手続きを急ぐよう働きかけられたと省内に伝えていたことが関係者の話で分かった。開学を巡っては内閣府が文科省に「総理のご意向」と伝えたことを記録したとされる文書の存在が明らかになっているが、同時期に、首相周辺からも同省に迅速な対応を求めていた可能性が浮上した。

関係者によると、前川氏は昨年秋ごろ、官邸の和泉洋人首相補佐官に呼ばれて、特区での獣医学部の新設について協議。文科省は2003年3月に「獣医学部の新設は認めない」との告示を出していたことから新設に慎重な姿勢を示していたことを踏まえ、和泉氏は告示改正の手続きに向けて「(大学を所管する)高等教育局に早くしてもらいたい」と要求したという。前川氏は「(文科)大臣が判断されること」と明言を避けたとされる。こうした経緯は前川氏から文科省の複数の幹部に伝えられた。

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というのであるが、前川氏は、インタビューで、和泉洋人首相補佐官のところは、「いまははっきり申し上げられない」「申し上げられない理由も、申し上げられない」と言っていたように思った。
どうしてなんだろう?

2017年5月29日月曜日

共謀罪 特高官僚

11年前に共謀罪の国会答弁に立ったのは「特高官僚」の大林宏だった
19日、共謀罪法案が衆院法務委員会で可決された。共謀罪はこれまで三度国会で廃案になっているという説明がされているが、厳密には、大きな政治戦になったのは2006年4月から6月にかけての通常国会のときで、民主党が奇策で出してきた対案を官邸と自民党の国対が丸呑みしようとしたところ、党内から俄に批判が起こり、ギリギリの段階で強行採決に踏み切れず頓挫、会期時間切れで流産に至ったという顛末だった。小泉政権の末期のことで、ポスト小泉の時期であり、自民党の中は今よりもずっと派閥重鎮の力が大きく、権力の分散と均衡が明らかで、官邸が党を無視して政策を専横できる環境になかった。このとき、共謀罪の成立に最も執着して強行突破を指揮していたのは官房長官だった安倍晋三で、すなわち今回の政治は安倍晋三にとって11年前の怨念のリベンジの意味がある。当時、ポスト小泉は、小泉純一郎の指名によって安倍晋三に事実上内定していたが、根回しなしの独断専行が目につく安倍晋三の強権手法に対して、党派閥の面々が快く思わず、「あの小僧が」と軽侮して影ながら抵抗していた様子が窺われる。当時は今のような「政高党低」の独裁体制ではなかった。



当時の公明党は、与党内野党としてのブレーキ役の実質を持っていて、自民党の派閥と繋がって官邸権力(小泉と安倍)を牽制する機能を果たしていた。このとき、継続審議になった共謀罪法案について、小泉純一郎が「私は『平成の治安維持法』を作った総理になりたくない」と述べた逸話があり、そのことは事実で記憶もしているけれど、これをあまり過剰に評価して美談にするのはどうかと思う。法案は閣法であり、閣議決定した責任者は首相の小泉純一郎だ。しかしながら、この言葉からも読み取れるように、法案を推進した中軸が小泉純一郎だったわけではなく、上程と成立に執念を燃やしたのは政権No.2の安倍晋三だった。本気で強行採決に踏み切っていれば、11年前に共謀罪は成立していたし、また、第一次安倍政権が3年続いていれば、安倍晋三が共謀罪の再チャレンジに出たことも疑いない。この点は、あらためて再認識しないといけない要点だろう。当時の自民党政権の中で、共謀罪制定に猛進した核心は安倍晋三だったが、本人が自ら発起して法案を構想したわけではなく、共謀罪を企んだ起点は法務警察官僚である。2001年のNY同時多発テロを利用して、秘かに練っていた治安立法の整備に動いたのが12年前で、要するに、これは右翼の「内務官僚」が長年暖めていた謀計だ。

2010年のNHKスペシャルで、外務官僚が核開発に動き、西ドイツと連携して日本を核保有国にしようと策動した歴史秘話が放送されたことがあった。無論、あんな動きを外務官僚が単独でできるわけがなく、佐藤栄作と椎名悦三郎の指示と許可があったことは確実だが、外務官僚において国連安保理常任理事国に返り咲くことが悲願であり、そのための必要条件として核武装を達成することが目標であることは、霞ヶ関の近辺で生息する者には常識の範疇だろう。彼らは諦めておらず、今でも虎視眈々と機会を狙っていて、極秘プロジェクトの成功と公表に向けて水面下で着々と歩を進めているはずだ。終戦のとき、GHQは軍と財閥は潰したが霞ヶ関を潰すことをせず、道具として使い続け、そのことが戦後民主主義を不全にした要因の一つだと言われている。外務官僚だけでなく、「内務官僚」もまた、外見は日本国憲法に従う素振りをしつつ、それは欺瞞で、彼らが真に忠誠を誓う国家は大日本帝国であり、戦前日本の原状を復元する野望を内に滾らせながら、戦後民主主義の不本意な時代を雌伏していたと言っていい。治安維持法は、「内務官僚」にとっては日本に必要なシステムで、それを使って反政府運動を取り締まり、反政府勢力を抑え込むのが当然なのだ。

11年前の共謀罪の政治戦はどういう経過だったのだろうと、ネットに残っている情報を見て追跡していたら、国会の法務委員会で政府参考人として答弁に立ち、保坂展人や平岡秀夫を相手に共謀罪の正当性を力説していたのが、あの大林宏だった事実を確認した。当時の法務省刑事局長である。2006年の共謀罪国会のあと、手柄を安倍晋三に認められて法務省事務次官に就任、2008年には東京高検検事長に出世し、西松事件と陸山会事件の指揮を執ったことで有名になった。2009年3月、このときは麻生内閣だが、漆間巌についての記事を準備中に大林宏の履歴を検索していたら、驚くことに、この男が特高の系譜を引く恐るべき右翼公安官僚で、反共イデオロギーの「特務」の畑を歩んでキャリアを積んでいた事実が発覚した。任官してすぐ、20代で在中国大使館の一等書記官出仕となり、つまり北京で日本政府(公安警察)のスパイ活動を行っている。その後、何と、1980年に帰国した伊藤律を直接尋問する係を担当していた。このとき、大林宏は33歳。この猛毒の思想警察の精鋭だった男が、それから25年後に共謀罪を策定し、安倍晋三官房長官の配下で満を持して国会に上程するのである。共謀罪の狙いが何か、由来が何か、手に取るように分かる戦慄の関連情報ではないか。

今回の国会論戦では、政府側が、壊れたロボットのような金田勝年を答弁役に立て、答弁拒絶と意味不明の応答で混乱させて時間を潰し、無内容な討論に終始させたが、11年前は、共謀罪を設計した当人である大林宏が答弁に立ち、保坂展人や細川律夫と切り結び、噛み合った議論とまでは言えないまでも、それなりに共謀罪の本質や目的が浮き上がる議論が交わされている。つまり、「特高官僚」が本音を漏らしている。例えば、目くばせは共謀になるのかという質問を保坂展人が発し、大林宏が、目くばせもサインだから共謀になると素直に答えているくだりがあり、今回の滅茶苦茶な国会審議と較べて、11年前の議事録ははるかに読んで堪えられる内容と言えるだろう。11年前は、今のように反対の集会やデモは活発ではなかった。ただ、福島瑞穂がワイドショーに頻繁に出演して説明する場面があり、共謀罪の法的な中身については現在よりも国民の理解が深まっていたように思われる。国民世論の方も、今回は、政治の話題になって3か月も経ちながら未だに賛否拮抗というお粗末さだが、当時はすぐに反対多数の空気ができ、賛否拮抗などということはなかった。何と言っても、当時のNEWS23のキャスターは筑紫哲也であり、番組が始まったばかりの報ステのコメンテーターは加藤千洋である。

今とはテレビ報道の陣容と環境がまるで違う。共謀罪の世論調査の数字が賛否拮抗になるわけがないのだ。その問題と関連して、11年前と比較して変化として気づくのは、今回は確信した共謀罪賛成派が多いことである。無知にもとづく賛成とか、テロ対策だからと単純に判断して賛成という態度ではなく、共謀罪が治安維持法の復活だと正確に了解した上で、積極的に賛成の立場にコミットしている者が無闇に多い。自覚した右翼が増え、安倍晋三信者が世論の中で岩盤のボリュームを構成している。ネットを見ると、早く共謀罪を成立させて左翼を捕まえて殺せ、といったような書き込みを何度も目にする。11年前とは様変わりの情景であり、マスコミもこの変化を察知しているだろう。共謀罪が、反基地闘争とか、反原発闘争とか、反政府運動を弾圧する治安立法だという真実を心得た上で、政府が共謀罪を施行することを支持している者が多い。共謀罪が基本的人権を侵害するものだと承知しつつ、左翼の基本的人権なら制限に問題はないという認識を隠さない。おそらく、1930年代も同じ状況だっただろう。米国の愛国者法の濫用によって米国のイスラム教徒が不当な迫害を受けた問題について、5年前や10年前は批判的な論調が多かったが、最近は雰囲気が変わり、米国にも共謀罪があるのだから日本も早くしろという主張がマスコミで流されている。

米国で実施されていることは何でも日本の手本だからという理由づけで、愛国者法についての評価まで変わり、共謀罪を正当化する材料に使われ始めた。悲願が成就する大林宏は嬉々満面に違いない。

2017年5月28日日曜日

恋々と 連綿の 違い

恋々と 連綿の 違い

首相補佐官が前次官に要請 新設手続き「早く」


獣医学部計画で16年秋に働きかけられたと省内に伝える

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計(かけ)学園(岡山市)が国家戦略特区で獣医学部を新設する計画について、文部科学省の前川喜平前事務次官が在職中の昨年秋、首相補佐官に呼ばれて開学の手続きを急ぐよう働きかけられたと省内に伝えていたことが関係者の話で分かった。開学を巡っては内閣府が文科省に「総理のご意向」と伝えたことを記録したとされる文書の存在が明らかになっているが、同時期に、首相周辺からも同省に迅速な対応を求めていた可能性が浮上した。

 関係者によると、前川氏は昨年秋ごろ、官邸の和泉洋人首相補佐官に呼ばれて、特区での獣医学部の新設について協議。文科省は2003年3月に「獣医学部の新設は認めない」との告示を出していたことから新設に慎重な姿勢を示していたことを踏まえ、和泉氏は告示改正の手続きに向けて「(大学を所管する)高等教育局に早くしてもらいたい」と要求したという。前川氏は「(文科)大臣が判断されること」と明言を避けたとされる。こうした経緯は前川氏から文科省の複数の幹部に伝えられた。

 一方、松野博一文科相は文書の存在が発覚した17日の衆院文部科学委員会で「官邸、首相から直接の指示があったのかということであれば、指示は全くない」と官邸側の働きかけを否定し食い違いを見せている。

 文科省の告示は今年1月に「国家戦略特区で18年4月に開校できる1校に限り認可する」との例外規定を加えて改正された。

 前川氏は25日の記者会見で、「文書は真正なもの」と証言。文科省に「総理のご意向」と伝えたとされる内閣府の藤原豊審議官は18日の衆院農林水産委員会で「内閣府として『総理のご意向』などと申し上げたことはない」と否定している。

 和泉氏は13年1月、首相補佐官に就任。「地方創生」担当を務める。和泉氏は前川氏への要求について「面会については記録が残っておらず、確認できません」と文書で回答した。【杉本修作】

獣医学部新設の規制緩和

 政府の国家戦略特区諮問会議は2016年11月、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」との規制緩和を決めた。当時、京都産業大(京都市)も学部新設を希望していたが、大阪府内に獣医師養成課程を設ける大学があり、京産大側は「『広域的に存在しない地域』と限定されると関西圏では難しい」として断念。一方、加計学園は愛媛県今治市で新設を計画。四国には獣医学部がなく、同学園は17年1月、獣医学部を設置する事業者として認定された。

2017年5月25日木曜日

大学用地リースが「無償譲渡」になった謎

 森友学園が急遽、小学校認可申請を取り下げた。一方、愛媛県今治市に来春、大学の開校が急に決まった。前今治市長がいぶかる、大学用地リースが「無償譲渡」になった謎とは。

「ようこそ タオルと造船の町 今治へ」

 JR今治駅のロータリーの立て看板は居心地が悪そうだ。降り立つ乗客も、待ち受ける地元民の人影もまばら。本州と四国を結ぶ航路が集中し、港から人があふれて栄えた商店街は、シャッター街になった。そうした中、いま注目されているのが、来年4月に今治市に開校が決まった岡山理科大学獣医学部。市が丘陵地帯に整備した高等教育施設用地16.8ヘクタールを、同大学に「無償譲渡」する。その価格は36億7500万円相当。さらに事業費の半分にあたる96億円の補助金を得るという。

 1学年160人の6年制獣医学科と同60人の4年制獣医保健看護学科を設置し、学生定員は1200人。経営母体は岡山県や広島県、関東、九州などに大学から幼稚園までの教育関連30施設を持つ学校法人「加計(かけ)学園」グループだ。理事長の加計孝太郎氏は安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ、米国留学時代からの40年来の親友だ。

●何度も門前払いだった

 安倍首相肝いりの「国家戦略特区」に今治市が指定されたのが2015年12月15日だから、そのスピード感たるや尋常ではない。そもそも同大学の今治市への獣医学部設置計画は10年前にさかのぼり、幾度もはねつけられて塩漬けにされてきた。それが一転して加計学園に大甘な味付けに変わったのだ。

「私が市長になって2年目のころでしょうか。加計学園さんの事務方と親しい地元選出の県議が『新しい学部を一つ作りたいと言っています』という話を持ってきた。今治市にとっても願ってもない話なので副市長2人とも『無償で貸してもいいよね』と相談したのが始まりでした」

 05年から今治市長を1期務めた越智忍・愛媛県議(59)が、そう振り返る。

 1984年に始まった市の新都市開発事業は宅地の造成・分譲などは順調に進む一方、高等教育施設用地への大学誘致は難航し、加計学園の登場は渡りに船でもあったという。越智氏が続ける。

「数十年定員が変わらず、志望倍率も20~30倍と高止まりな獣医学部なら、学生集めに苦労しないだろうという経営判断だったのでしょう。でも学校の所管は文部科学省で、獣医師なら農林水産省の案件。タライ回しの門前払いでした」

 そこで目をつけたのが構造改革特区。「四国初の獣医学部を誘致する」として07年から愛媛県と共同で特区申請を始めた。だが、日本獣医師会など獣医関係者が新設に反対し続けた。越智氏は元文部官僚の加戸守行愛媛県知事(当時)の紹介で、「獣医師問題議員連盟」最高顧問だった森喜朗元首相にも陳情したが、奏功しなかった。

 一方で、加計学園サイドは用地とは別に費用負担を持ちかけてきた。その額100億円。施設の建設費や医療機器の整備のためとのことだった。

「今治市は合併したばかりで大変な負債を抱えていたので、そこは何とかまけてもらえませんかと(笑)。具体的な金額までは出なかったけど、2~3割は減額できそうな感触を得たので、愛媛県にも地元負担は70億~80億円で進めますよと話をしました」(越智氏)

 再選を果たせなかった越智氏から現職の菅良二市長に代わっても特区申請は敗れ続けた。14年11月までに計15回提案して全敗。しかし、その半年後に国家戦略特区の「国際水準の獣医学教育特区」が提案されて閣議決定されると、あっという間に52年ぶりに獣医学部が開設されることが決まった。

「しかもリースだったはずの土地もタダで譲渡し、それを担保に建設費や運営資金を銀行から借りて進めるというからびっくりです。当時の市の幹部に聞いても『いつ変わったんじゃろうか』とクビをひねっとるし、何か裏事情があるとしか思えませんね」(今治市・越智郡選出の村上要県議=社民)

 破格の特別待遇を受ける加計学園は、大阪府豊中市の国有地を9割引きで取得した学校法人「森友学園」と奇妙な類似点がある。認可申請を取り下げた「瑞穂の國記念小學院」名誉校長に就任予定だった安倍首相の妻、昭恵氏は、加計学園が神戸市内で運営する認可外保育施設の名誉園長にも就いている。

「加計学園や森友学園の問題の共通点を探るうえでの大きなポイントは『教科書』です」。『日本会議の研究』(扶桑社新書)の著者の菅野完氏はこう指摘する。

 加計理事長は、育鵬社の教科書発行の支援団体「教科書改善の会」の賛同者に名を連ねており、グループの岡山理科大学附属中学校は育鵬社の公民と歴史の教科書を採用している。

●教科書で連なる縁

 07年に発足した教科書改善の会の正式名称は「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」。第1次安倍内閣の下で成立した改正教育基本法に基づく中学校の歴史・公民教科書の出版、普及が目的の団体である。

 同じく育鵬社の中学校歴史・公民教科書の編集や採択を支援する一般財団法人「日本教育再生機構」によると、教科書改善の会は「シンポジウムの開催など対外的な活動を担う団体を目指したが、機構とのすみ分けも明確ではなかった」ことから、現在はほぼ活動停止状態という。菅野氏はこう解説する。

「『新しい歴史教科書をつくる会』から分裂した日本教育再生機構は、日本会議が教科書運動を行うためにつくった別動隊です。教科書改善の会と同機構は顔ぶれ、活動内容ともに実態はほぼ同一といえます」

 同機構の複数の顧問は日本会議の幹部役員を兼任している。日本会議は育鵬社など保守系教科書の普及拡大に取り組んでいることからも両団体の「類似性」は浮かぶ。

 渦中の森友学園の籠池泰典理事長は日本会議大阪の運営委員だ。菅野氏はさらにこう言う。

「日本会議同様、全国に支部がある日本教育再生機構の中で、大阪は大阪維新の会との関係が特に強い組織であるという点で極めて特殊です」

 菅野氏がその象徴と指摘するのが、12年2月26日に日本教育再生機構大阪が開催した「教育再生民間タウンミーティング」だ。安倍氏が再び自民党総裁に選出される約半年前に松井一郎府知事が同席したこのイベントを同機構はこう紹介している。

「『2・26大阪』を境に流れが変わった──」

 HPでは安倍氏と松井知事の「結束」を伝える当時のマスコミ報道を列挙してアピールしている。

 国家戦略特区申請にあたって安倍首相や他の誰かの勧めがあったかどうか、加計学園にただすと、こんな答えが返ってきた。

「特区申請は県や市がされていることであり、ご質問のような事実はありません」

 しかし、結果として歴史認識や道徳観を共有するサークル仲間に、教育施設の建設で特別な便宜が図られたように見える。「安倍1強体制」の下、周囲の忖度(そんたく)も相まってそういう実態が行政機構にまかり通っているとしたら、道義的に許容され得るものではない。

「大学ができて若者が増えて住まいも借りてくれれば、飲食業も潤うし、市の活性化にもつながる。だから県議も市議もおおかたの市民も総論は賛成なんです。でも、土地開発公社などから36億円で買い戻した土地を無償で譲渡して、それが担保になるのは不自然。先方が担保で借りたカネは何に使われるかわかりません。不透明です」(越智氏)

 今治市企画財政部は一連の経緯についてこう答えた。

「土地は当初から無償譲渡が前提。08年の市議会でも担当部長の『無償譲渡』という答弁の議事録がある一方で、議会で『貸与』の方針が示された記録はありません」

 しかし、加計学園と交渉をスタートし、折衝を重ねた当時の市トップの発言は重みがある。同じタダでも「貸与」と「譲渡」では大違いだ。経緯も含めて徹底的な検証が望まれる。

「証人喚問があれば、参ります」前川喜平・前文部科学事務次官

「証人喚問があれば、参ります」
 安倍晋三首相の40年来の“腹心の友”である加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が愛媛県今治市の国家戦略特区に獣医学部を新設する問題で新展開があった。
 内閣府が文部科学省に「総理のご意向」などと伝えた文書の存在を認めていた前川喜平・前文部科学事務次官が25日、都内で記者会見し、自民党が拒否している証人喚問に応じる意向を示した。
 さらに「文科省の立場で私が受け取った文書に間違いない」と改めて証言し、安倍政権の弁明と真っ向から食い違う爆弾証言をしたのだ。
 文書について松野博一文部科学相が「存在は確認できなかった」と発表したことについて、前川氏は「答弁は大変残念。大臣や関係者を含め、そう言わされるふうに追い込まれてしまったのではないか」とも話した。当時、大学認可の権限を持つ文科省の事務方トップだった前事務次官の会見は自民党に衝撃を与えた。
 加計学園と安倍首相の問題を特報したのは「週刊朝日」(3月17日号)。「第2の森友学園疑惑」として、今治市内に新設される岡山理科大獣医学部の用地として土地を無償で譲渡するとした市の2016年度補正予算案の内容や、「国家戦略特区」事業として異例のスピードで新設が認められた経緯、加計学園の加計氏について安倍首相が「どんな時も心の奥でつながっている友人」(2014年5月)と評するなど親密ぶりを報じた。
 その後、朝日新聞が5月17日、文科省の内部文書とみられるA4判8枚の資料の存在を報道し、事態は急展開した。
 内閣府の担当者が計画の早期実現について「官邸の最高レベルが言っていること」「これは総理のご意向だと聞いている」などと発言したことが克明に記録されていたのだ。
 文書について文科省は「存在は確認できなかった」と発表したが、前川氏は朝日新聞の5月25日付朝刊で、「文書は本物です」とその存在を認めた。さらに会見では、獣医学部の新設については加計学園を前提に検討が進んだことに「行政がゆがめられた」と語った。
 森友学園の「忖度(そんたく)」問題に続き、安倍首相の“お友だち”人脈から次々に出てくる疑惑に安倍首相の苛立ちも伝わってくる。ある自民党幹部はこう話す。
「森友学園、加計学園の疑惑が長引き、安倍さんは周辺に『鬱陶しい気分だ』と漏らしている。サミットから戻ってから対応を協議する予定だったが、事態が早く動き出した」
 自民党内の受け止めも二分されている。別の幹部はこういう。
「加計学園しか取れない新設の条件なんだから、40年にわたる悪友関係の安倍首相と加計氏のあうんの呼吸で便宜を図ったのは明白。明らかに政治的な動きがあったはずだ」

 官邸の圧力に屈しなかった前川氏は、世界的な産業用冷凍冷蔵機器メーカー『前川製作所』の御曹司で、妹は中曽根弘文元外相に嫁いでいるという。
「官邸のコントロールが利かない人物」(前出の幹部)
 一方で、別の幹部は強気にこういう。
「背景には文科省の権力闘争があり、天下り問題で処分を受けた前川の官邸への恨みが生々しいこともあり、文書が本物だとして、どれも間接的な表現にとどまり、結局は忖度話になる。野党がいくら騒いでも、うやむやに終わるだろう」
 読売新聞は朝日新聞が加計文書の存在を報じた5日後の22日、前川氏が文科省に在職中、援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたと報じた。それについて前川氏は会見でこう疑問を呈した。
「行ったことはある」と認めたうえで、「テレビの番組でこういったバーで働く女性について紹介していて、実態を聞いてみようと(行った)。ここで働いている女性たちは、親が離婚してるひとが多いとわかり意味があった。読売新聞がなぜ報じたのか」と疑問を呈した。
 安倍首相がサミットから帰国後、前川氏の証人喚問は行われるのか。注目だ。
※週刊朝日オンライン限定記事

前川前事務次官は「私の後輩やお世話になった大臣にご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ないと思うが、あったことをなかったことにすることはできないと思っている」

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画で、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」と早期開学を促されていたとする文書を巡り、文科省の前川喜平前事務次官は25日、東京都内で記者会見を開き、「文書は確実に存在していた」と述べた。

 文書の存在が報道された17日、菅義偉官房長官は「内閣府が『総理の意向』などと言ったことは一切なく、総理の指示もない」と内容を否定。文科省は19日、「文書の存在は確認できなかった」との調査結果をまとめている。

 前川前事務次官は「私の後輩やお世話になった大臣にご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ないと思うが、あったことをなかったことにすることはできないと思っている」と話した。
 加計学園は政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に獣医学部新設を計画。国家戦略特区諮問会議が昨年11月、新設を認める規制改革を決定した。前川前事務次官は自身の任期も含まれることから、「当事者として業務に携わってきた。まっとうな行政に戻すことができず、押し切られてしまったことについては、私自身の責任が大きい」と話した。
 
 © 毎日新聞 加計学園の問題について、記者会見に臨む文科省の前川喜平前事務次官=東京都千代田区

文部科学省の事務次官だった前川喜平氏(62) 官僚トップの次官として「筋を通すべきだった」

 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、文部科学省の事務次官だった前川喜平氏(62)が朝日新聞の取材に応じた。内閣府から「総理のご意向」と言われたなどと記録した文科省の文書について、前川氏は次官在任中、担当課から説明を受ける中で示されたと証言。官僚トップの次官として「筋を通すべきだった」とも語った。主なやり取りは次の通り。
 
 ――文科省が内閣府から「総理のご意向だと聞いている」と言われたなどとする文書8枚を、民進党が国会で示し、文科省に調査を求めたが。

 いずれも獣医学部の新設について、担当の専門教育課の職員から、自分が説明を受けた際に示された。昨年9月9日~10月31日に計6回、課長や課長補佐らと事務次官室で獣医学部の新設について打ち合わせをした。9月28日には「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」という文書を、10月4日には「大臣ご指示事項」の文書を示されたと記憶している。 以下省略
(朝日新聞)

前川喜平氏、こころ爽やかに、各メディアで大いに語る。
天下り問題で首になったのに。
加計(かけ)学園問題で大反撃。

そもそも5/19に官邸側が
「昨日夕方くらいまでは『捏造文書』と言い切っていた安倍官邸ですが、どんどん新しい証拠が出てくるので、本物と認めざるをえなくなった。そこで、今度は『文書の出所は天下り問題で“依願退職”した元文科省事務次官の前川喜平氏だ』と言いふらし始めたんです。つまり、天下り問題でクビを切られた前川氏が政権への“恨み”を晴らすためにばらまいたシロモノだ、と主張しているんです」
と言ったものだから、
その挑発を利用した形か。

丁寧に対応しないとこうなる。

2017年5月23日火曜日

「総理の友達だけが得をする」

「総理の友達だけが得をする」

2017年5月19日金曜日

田崎史郎氏が「文書は本物」と明言 処分された役人が逆恨みで流出

今朝の『とくダネ!』(フジテレビ)では“官邸のスポークスマン”である御用記者・田崎史郎氏が「文書は本物」と明言し、ただし「「総理の意向」は加計学園だけでなく全体のことを指している」「問題があって処分された役人が逆恨みで流出させた」などと苦し紛れの弁明を展開していた。

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「昨日夕方くらいまでは『捏造文書』と言い切っていた安倍官邸ですが、どんどん新しい証拠が出てくるので、本物と認めざるをえなくなった。そこで、今度は『文書の出所は天下り問題で“依願退職”した元文科省事務次官の前川喜平氏だ』と言いふらし始めたんです。つまり、天下り問題でクビを切られた前川氏が政権への“恨み”を晴らすためにばらまいたシロモノだ、と主張しているんです」

公共放送BBCはNHKとの番組交換を中止した

公共放送BBCはNHKとの番組交換を中止したということです。同じ公共放送とは考えられないという理由です。

2017年5月17日水曜日

財務省の官僚7名を、被疑者特定して、公用文書等毀棄罪での刑事告発

なるほど。こういうこともできるのか。裁判所がどう対応するか、どうたいおうしてもくるしいところだろう。いつものことながら。

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 すでにNHKのニュースなどで流れているようですが、本日、霞が関の東京地方検察庁に、全国から集まった数十通の告発状を提出してまいりました。

 財務省の官僚7名を、被疑者特定して、公用文書等毀棄罪での刑事告発です。
 もちろん、「なんか怪しいみたいだから、お上で捜査してください」というような検察に期待をかけた、やさしい告発ではありません。諸資料により、当会のイケメン法曹チームが、佐川理財局長らの答弁の嘘を完全に暴いております。

 というわけで、本日午後3時の時点で、告発状はWebで公開されておりますが、あらためて、概要をご説明しようと思います。

 まず、公文書の保存についてですが、これは、いわゆる公文書管理法(正式名 公文書等の管理に関する法律)で規定されています。
 この4条に、

「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。」

と定められており、

三  複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
四  個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯


とされています。森友学園事件の場合、

三は、航空局や大阪の私学審議会との折衝の記録
四は、まんま、森友学園との交渉記録ですね。ちゃんと「経緯」とまで書いてあります。

 すなわち、航空局との交渉も、森友学園との交渉記録も、公文書管理法で、作成を「しなければならない」と規定されているわけです。国有地の売却の大幅値引きに関わる交渉ですから、「軽微なこと」ということはありえません。

 そして、実際に、佐川局長も「作成した」ことは認めています。そして、細則に基づいて廃棄した、というのが、主張なわけです。

 そして、第五条では、

第五条  行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。

とされています。すなわち、各行政機関で、行政文書の保存期間を決めるということです。その保存期間が定められているのが、財務省の場合、「財務省行政文書管理規則」です。

 さて、それで、問題は、森友学園の土地売買にかかわる記録がどういう扱いになるか、が問題になるわけですが、これについては、当会法律家チームでも、いくつかの説が出てまいりました。

①30年説

 公文書管理法第5条では、会議録や協議録等の文書は、それ単独では保存期間1年 であっても、「相互に密接な関連を有する行政文書」は「一の集合物」として「行政文書ファイル」にまとめなければならない」と書いてあります。そして、「行政文書ファイルの保存期間満了時期は、行政文書ファイルにまとめられる 行政文書のうち保存期間の満了する日が最も遅い日となるものに合わせる」こととされている。

 だから、契約書が30年保存なので、交渉記録も、同じ青いファイル(だそうです。財務省の方談)に入れて、30年保管が原則。

②10年説

 もし、30年説にあたらないという解釈があるとした場合でも、「財務省行政文書管理規則」にちゃんと、「国有財産の管理及び処分に関する決裁文書又は管理及び処分に関する重要な実績が記録された文書」の保存期間は10年と書いてあります。

 値引きの交渉というのは、(それが完全に無視されて、何の影響も与えなかったようなレベルの交渉ならともかく)、実際に値引きが行われた交渉なのですから、「処分に関する重要な実績が記録された文書」そのものです。

 それから、「4.他の行政機関との会議に検討のための資料として提出された文書及び当該会議の議事が記録された文書その他申し合わせに至る過程が記録された 文書の保存期間は10年」とも明記されていますから、航空局や大阪府教育庁と交渉記録は、これにあたりますね。

 というわけで、この場合は、最低保存期間は、10年です。

③5年説

 上の②で、ほぼ決まりみたいなものですが、②が当てはまらないというような苦しい言い訳がある場合でも、この「財務省行政文書管理規則」には、法人に対して、「不利益処分をするための決裁文書その他当該処分に至る過程が記録された文書」の保存期間は、5年と規定されています

 で、近畿財務局が森友学園と交わした売買契約書には、契約の締結日から10年間有効な買戻し特約が付されています。これはね、法的には「不利益処分」そのものです。
 なので、10000歩譲っても、この文書の保存期間は、最低でも5年。しかも、それは、不利益処分有効期間を経過した2026年6月20日から5年、すなわち、2031年6月20日となります。

 この30年~5年説、どれをとっても、いま現在の段階で、書類廃棄はあってはならないことになります。

④みんながひっかかってる佐川局長の嘘について

 え。ということは、ちゃんと規定されてるのに、佐川局長の「規則に基づき、保存期間1年未満とされている」ってのは、どういうこと?

 と思われたでしょう。それこそが、佐川局長の答弁の根拠となっている「細則」なんです。この細則、Webで公開さえされていないんですけどね。(情報公開したらやっと出てきます)

 では、この細則とは何か。じつは、「財務省行政文書管理規則」で規定されています。すなわち、

本表が適用されない行政文書については、文書管理者は、本表の規定を参酌し、当該文書管理者が所掌する事務及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする。

 これですね。つまり、逆に言えば、文書管理者レベル、つまり細則で廃棄を決められるのは、「本表(財務省行政文書管理規則 別表)が適用されない行政文書」にしかすぎないんです。

 なので、この「財務省行政文書管理規則」で規定されている文書を、下位規定である細則をもって勝手に捨てることは、できません。

 あたりまえですが、労働基準法があって、就業規則があるのにもかかわらず、それに反するような内容の課内内規を勝手に作って、課長権限で、「うちの課内規定では、課長が残業時間決めていいって書いてあるし、それでオレが、うちは残業300時間て決めたんで、労働基準法とか就業規則になんて書いてあっても、そっちが、うちの規則として優先されるんで」と開き直っても、労働基準監督署はそんなもん認めませんから。(笑) 罪になるんですよ、罪に。嘘だと思うなら、裁判の場で、そう主張なさってみてください。

 ということで、佐川局長の答弁はすでにここで、完全に崩れているわけですが、さらに、徹底的に潰します。

⑤そもそも(←正しい用法)、事案終了してないし

 問題の土地は一括払いじゃありません。分割払いで、完済が10年先です。そして、佐川局長は、「売却代金の分割払いについて今受け取っているということでございます」「私ども、先方の学校法人に対して、一億三千二百万のきちんとした債権を 保有しているということでございます」と、明確に支払いが完了していないことを認めています。

 住宅ローンで考えれば当たり前ですが、契約書にハンコ押したという行為で、事案は終了してません。完済するまではローンあるんです。しかも、この場合、銀行にお金借りての支払いじゃなくて、国に対しての債務です。なので、10年分割の債務が終了するまでは、事案は終了してません。それは会計監査院も、明確に認めちゃってます

⑥ていうか、専門家から見ると、契約自体も終わってません

 この森友学園の契約書第26条には、10年間の買戻し特約が規定されていました。い。つまり、森友学園は、売買物件について平成29年3月31日までに必要な工事を完了し、指定用途(注:学校用地)に自ら供さなければならない」(第23条第1項)とされ、この指定期日までに土地を指定用途に供さない場合、国は売買物件を買い戻すことができるという特約が付けられています。

 しかも、国による、この買戻権は売買契約の締結日から10年間有効です。つまり、身も蓋もなく言っちゃうと、森友学園の運営がうまくいかなかった場合でも、2年や3年でやめちゃって転売、みたいなことはできませんよ。学校閉めて転売しちゃう場合も、1年や2年でそれやられたら、あまりに見え見えでアレなんで、最低10年は待ってね。という特約です。

 そして、しかも、この買戻権については、売買契約締結時に、国土交通省を買戻権者とする付記登記をすることで、国の権利の保全が図られています。

 で、実際に、森友学園の財務状況は積立ゼロとかで、私学審議会でも「「基本金がゼロだから計画性がない。」「かなり赤字になっているのでは」「こんな絵空事でうまくいくとはとても思えない」とボロクソだったわけですから、うまくいかない可能性は、さんざん指摘されていたわけです。

 そして、事実、今年3月31日までに学校を作ることができなかったので、まさに、この特約によって、国は土地を買い戻しできるわけ。

 つまり、この契約自体、売買契約の締結日から10年間、最短でも今年の3月30日までは、契約自体も終了していないのです。

 で、ここで、もうひとつ。

 刑法における公用文書等毀棄罪は、単に書類をシュレッダーかけたとか燃やしたとかだけじゃなくて、「隠匿」しただけでも、成立します。

 つまり、今年2月28日、佐川局長が「廃棄しました」と言った瞬間、その瞬間に、そして、今月9日、官房長自ら、「この世にない」とおっしゃってますから....あとでどこかから出てきたとしても、お気の毒ですが、罪は成立しています。

 というわけで、この告発状は、そのまま報告書にして裁判所に出していただければ、被疑者否認でも逮捕状取れますので、検察の皆様としては、国民の期待を背負って、すみやかに行動なさっていただきたいものです。

 もちろん、それでも不起訴、という場合は、それなりの説明が求められることは言うまでもありませんわよ。


告発状
http://shiminnokai.net/doc/kokuhatsu170510.pdf


「森友学園」の交渉記録廃棄 当時の財務省幹部らに告発状
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170515/k10010982261000.html
5月15日 17時51分 NHK

学校法人「森友学園」に国有地を売却するまでの交渉記録を財務省が廃棄したとしていることについて、市民団体は15日、「交渉記録の保存期間を1年未満とした財務省の解釈は違法で、何らかの不正行為を組織的に隠蔽するためだった可能性が高い」として、財務省の当時の幹部らに対する告発状を東京地方検察庁に提出しました。

財務省は大阪・豊中市の国有地を学校法人「森友学園」に売却するまでの交渉記録について「財務省の規則で保存期間は1年未満となっており、去年6月の売買契約の締結後に廃棄した」と説明しています。

これについて市民団体は15日、「保存期間を1年未満とした財務省の解釈は違法で、何らかの不正行為を組織的に隠蔽するためだった可能性が高い」として、公用文書毀棄の疑いで財務省の佐川理財局長や当時の幹部など7人に対する告発状を東京地方検察庁に提出しました。

告発状を提出した市民団体の八木啓代代表は「国有財産の処分などに関する決裁文書の保存期間は30年で密接に関連する文書も同じように保存するよう国の法律やガイドラインで定められている。一連の交渉記録を軽微な文書と見なして保存期間を1年未満としたのはこじつけというべきで、こうした財務省の姿勢に多くの国民が納得していない」などと主張しています。

東京地検は今後、告発状の内容を精査したうえで、違法性の有無を慎重に検討するものと見られます。

財務省の「細則」に基づき破棄を判断

森友学園の国有地問題では、籠池前理事長はこれまで国と交渉する際に安倍総理大臣夫人の昭恵氏の名前を出したと説明し、行政側にそんたくがあったという見方を示していますが、国の交渉の記録は問題が発覚する前に廃棄されていたため、詳しい経緯が十分に検証できない状況が続いています。

財務省は政治家の関与や行政のそんたくを否定していますが、NHKが先月行った世論調査では政府の説明について、「あまり納得できない」や「全く納得できない」と答えた人が7割を超えています。

なぜ交渉の記録は廃棄されてしまったのでしょうか。

財務省の佐川宣寿理財局長はこれまで国会で、「財務省では『行政文書管理規則』に基づいて文書管理をしているが、その下の『細則』で『歴史公文書等に該当しない行政文書の保存期間は1年未満とする』とされ、一般的な面会などの記録は歴史公文書等には当たらないという判断で、保存期間は1年未満となっている」と答弁しています。

答弁に出てくる「行政文書管理規則」は、8年前に作られた「公文書管理法」に基づいて各省庁が定めているものです。

財務省が設けた管理規則では、公文書を28の類型に分け、3年間から最長30年間の保存期間が設定されています。この中には「国有財産の処分に関する重要な経緯を示す文書」という類型があり、保存期間を10年間から30年間と定めていますが、佐川局長はこの対象となるのは国有地取得の要望書などで、森友学園との交渉記録は含まれないという見解を示しています。

一方、管理規則のどの類型にも当てはまらない文書の扱いについては、別に「細則」を設けて定めています。

財務省は、この「細則」で、歴史資料として重要な文書などに当たらないものは保存期間を1年未満と決めていて、森友学園との交渉記録はこれに該当すると判断していました。そして、去年6月に国有地の売買契約を学園と結んだ時点で、事案が終わったと判断し廃棄したとしています。

佐川局長は「土地の売買契約書を結ぶまでの経緯が集約された契約書はきちんと保存されている」として、適切な判断だったという考えを示しています。

法制化後も問題相次ぐ

公文書の管理をめぐっては、平成19年に、公的年金の記録がずさんに管理されていた「消えた年金記録」問題や、薬害肝炎患者のリストが倉庫に放置されていた問題が相次いで発覚しました。

こうした教訓から、平成21年に作られたのが「公文書管理法」です。

この法律では、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけて適正な管理や保存を図ることが定められています。また、国民への説明義務を果たし、政府の意思決定の過程を検証できるようにするため、重要な会議の記録を残すよう定めています。

ところが、法律の施行後も公文書管理をめぐる問題が相次いでいます。

平成24年には、東日本大震災に関連する政府の重要会議のうち、「緊急災害対策本部」など10の会議で議事録が作成されていなかったことが明らかになり、議事の概要を事後的に作成する異例の事態となりました。

また去年、防衛省が当初破棄したと説明していた南スーダンに派遣された陸上自衛隊の「日報」が、実際には電子データで残っていたことがわかり、国会で大きな議論となりました。

公文書管理法は施行から5年をめどに見直すことになっていて、国が公文書管理をどのように改善していくのか現在、対応策の検討が進められています。

財務省と告発した団体の主張

国有地売却に関して、財務省の佐川理財局長は「森友学園との売買契約の締結をもって事案が終了したので、面会などの記録は廃棄した」と国会で答弁しています。

これについて、告発した市民団体は「森友学園からの代金の支払いは10年間の分割払いのため完了しておらず、事案が終了したというのはありえない解釈だ」と主張しています。

また、佐川局長は「財務省の行政文書管理規則で、国有地の売却に関して決裁文書などについては30年保存することになっているが、面会などの記録はそうした文書に該当しない」と答弁しています。

これに対し、市民団体は、面会などの交渉記録も決裁文書と密接に関連する行政文書なので公文書管理法で同じ期間保存しなくてはならないとされていると主張しています。

「法の精神が全くうかがえない」

公文書管理法の制定に関わり、内閣府の公文書管理委員会で委員長代理を務める三宅弘弁護士は財務省の対応について、「交渉の過程をできるかぎり残そうというのが公文書管理法の趣旨だ。8億円を値引きした交渉の記録は、契約が成立したので廃棄したという財務省の説明には、公文書管理法の精神が全くうかがえない」と批判しています。

そのうえで、「保存期間が1年未満の文書については、廃棄されたもののリストもなく、誰が廃棄したのかもわからないのが現状だ。こうした文書の扱いは、国民の共有財産をどう残すのかという観点で議論する必要がある」と指摘しています。

「今回の問題を契機に体制の整備を」

公文書管理が専門で、内閣府の公文書管理委員会の委員を務める学習院大学の保坂裕興教授は、今回の財務省の対応について、「公文書管理法の趣旨から考えると望ましくない事態だったと思う。国民が公文書を通して行政機関をチェックし点検することが本来必要である。今回の国有地の売却は数億円を左右する事柄であるにもかかわらず、財務省は公文書によって説明責任を果たすことができなかった」と批判しています。

そして、各省庁での公文書管理の体制について、「欧米と違って公文書管理の専門職員が現場に配置されていない。体制が整備されないかぎり、同じような問題が今後も起きる。今回の問題を契機に政治や行政を挙げての課題だと認識して対処すべきだ」と指摘しています。

財務省「文書の管理は法令に基づき適切」

財務省は「告発状の提出を確認しておらず、内容も見ていないのでコメントできない。文書の管理は、法令に基づいて適切に行っている」としています。