2017年4月27日木曜日

「政治家は(被災地に)寄り添っている“ふり”はしなくてはいけない」

 言語道断の「まだ東北だったから良かった」発言で辞任にいたった今村雅弘復興相。問題となっていた「自主避難者は自己責任」という発言といい、記者に激昂したその後、またしても同じ記者から寄せられた質問にキレるなどという大臣にあるまじき態度を取ってきた今村復興相の辞任は当然、というよりも遅すぎたと言うべきだ。

だが、安倍政権内に今回の問題を真摯に受け止める空気はないらしい。昨日の今村暴言の舌の根も乾かぬうちから、二階俊博・自民党幹事長の口からもこんな暴言が飛び出したのだ。

「人の頭を叩いて、血を出したっていう話じゃない。言葉の誤解があった場合、いちいち首を取るまで張り切っていかなくてもいいんじゃないか」

「マスコミは余すところなく記録を取り、一行でも悪いところがあれば、首を取れと。なんちゅうことか。それのほうの首をとったほうがいい」

「そんな人は、はじめから排除して(会場に)入れないようにしないといけない」

「東北で良かった」という暴言は「言葉の誤解」──。頭を叩いて血が出たわけじゃないと二階幹事長は言うが、「東北で良かった」発言は、震災によって家族や友人をなくした人びと、被災した人びとの心を殴りつけるような言葉だ。二階幹事長はそのことを認識せず、「マスコミの揚げ足取りだ」「そんな記者は排除しろ」と主張しているのである。

 そもそも、昨日のパーティでも、今村復興相は自身の失言問題について「お騒がせしております」などとネタ化して挨拶のツカミにしていたが、これに対して会場では笑い声が上がっていた。「自主避難者は自己責任」という発言を反省していないだけでなく、党内も問題発言を重く受け止める雰囲気は皆無だったのだ。

 こうした安倍政権の態度もそうだが、こんな暴言大臣を放置しつづけてきた、安倍首相の責任は非常に重い。しかし、きょうのワイドショーでは、そうした安倍首相の責任を追及しないばかりか、「安倍首相に謝らせるなんて!」という信じがたいコメントまで飛び出した。

田崎、坂上、恵も「首相を謝らせた!」と大合唱

たとえば、『ひるおび!』(TBS)では、司会の恵俊彰が「講演会があって、そのあとに懇親会があった、そこで総理がお話しになったわけですね」と安倍首相が問題発言の際はその場にいなかったことをわざわざ強調。同番組に「新聞マイスター」という肩書きで出演している小森谷徹も「後から到着したということで、総理も驚いたことでしょうねえ。まずはお詫びをしなければということで」などと解説。「自己責任」発言のときも安倍首相が謝罪していることを説明し、日刊スポーツの記事を引きながら「『首相に2回も謝罪させた大臣に用はない』(政界関係者のコメント)ということで守る人がいなくなった」と、あたかも安倍首相が被害者であるかのように説明したのだ。

 一体、何を言っているのだろう。当然のことだが、今村氏を復興相に抜擢したのは安倍首相であり、首相にはその任命責任がある。前述したように、問題発言を重ねながらもそれを“大した問題ではない”と黙認してきたのは安倍首相ではないか。

 だいたい、今村氏の前の復興相である高木毅氏は在任中に過去の“パンツ泥棒”問題が浮上したが、このときも安倍首相は更迭せずに高木大臣を続投させ、内閣改造で今村氏にすげ替えたのだ。「2回も謝罪させた」ことよりも、「2回もロクな大臣を選ばなかった」ということのほうが大問題だろう。

 だが、こうした論調は『ひるおび!』だけではなかった。フジテレビの『バイキング』でも、女優の波乃久里子が「総理大臣が謝ってらっしゃるでしょう」と言うと、坂上忍も「いきなり冒頭から総理が頭を下げる羽目になりました」と発言。坂上は安倍首相の任命責任にも少し言及したが、「二階派を支える盛り上げるパーティで、総理にまで来てもらってコメントもらうっていうのに、冒頭に謝らせちゃうっていう」と話し、スタジオは“天然の今村復興相のせいで安倍首相が謝るハメに”という流れをつくり出していた。

 いや、もっとひどかったのは、やはり“御用ジャーナリスト”の解説だ。前述の『ひるおび!』では、おなじみの田崎史郎・時事通信社特別解説委員が、「前の(自己責任)発言は記者からのもので同情が多少ある」「(安倍政権は今回の)発言を受けて、いかにダメージを少なくするか、ダメージコントロールに入ったんですよ」「昨日、早く手を打ったから最小限に留めた」と、まるで今村復興相の辞任が安倍首相の“英断”であるかのように主張。さらに田崎は「政治家は(被災地に)寄り添っている“ふり”はしなくてはいけない」などとも言い放ったのだ。

トンデモ大臣を輩出し続ける安倍首相は任命責任をとれ!

 被災した人びとは、いや、国民全員が、復興庁の大臣に寄り添っている“ふり”など求めていない。「寄り添うポーズでいい」などとジャーナリストがよく言えるものだと呆れる。田崎の発言も、安倍政権の姿勢も、醜すぎる。

 ワイドショーで紹介された「首相に2回も謝罪させた大臣に用はない」という政界関係者のコメントが象徴するように、今回、今村復興相が辞任したのは、「東北で良かった」という発言がいかに被災した人びとを冒涜するものであるかということよりも、「首相に謝罪をさせたこと」のほうが問題になっているのだ。そして、この期に及んで「マスコミは排除しろ」と叫ぶのである。安倍政権の歪みを是正しなくては、国民軽視の暴言大臣は何度でも再生産されるだろう。