2018年11月15日木曜日

「思いやりが欠けている」 のではなく具体的に何が 「思いやり」 かわからないだけ。

「思いやりが欠けている」 のではなく具体的に何が 「思いやり」 かわからないだけ。

高級な果物

高級な果物を全部1人でたべてしまって、「何故他の人にも残さないのか?」と聞かれ、「だって、美味しかったから」と答えたアスペルガー

核家族

日本の水耕時代以前、漁猟、木の実の採取、細々とした農耕が、今から5000年以前、 
縄文といわれている人々は従事していました。 
日本の場合、漁猟、海藻の収穫が結構安定していたので、人々は定住的であったそうです。 
この時代は、核家族です。 
近接居住、バンドの形成はあっても、各親子夫婦、所帯は核家族として生活していました。 
大家族のままでは、厳しい自然に臨機応変に対処できませんでした。 

水耕が大陸やって来たころから、人々は複数世代の居住、定住となり、所謂直系家族となりました。 
これが長男が代々土地、農具を相続する農家です。 
祖父から孫まで、3世代での農作業、土地の細分化を阻止する長子相続が定着しました。 

ところがかっての江戸のような大都会、或いは今日の首都圏では、核家族、平等主義核家族にならざるを得ません。 
核家族でなければ、狭い居住空間、細分化された職能に対応できないからです。 
ある意味、より古い時代、水耕以前古代、縄文に戻ったわけです。 
勿論、今でも広大な農地を相続し続けてきた東北、東日本の農家、 
首都圏でも男子嗣子相続の大都会の旧家では依然として直系家族のままですが。 

この間の価値観、行動規範の激変と、モザイク化を自閉症の背景として無視できないと、私は考えます。 

自閉症スペクトラムに親和性のある者は、直系家族主義の時代では、その特質を生かして個別的職業、工芸、職人、個人稼業を生業としてこれたのかもしれません。 

今の平等主義核家族が主体の大都市圏では、べたな資本主義的マニュアルから疎外されやすい自閉症的な人々を峻別しつくし、差異化しつくすためにかの人々を生きにくくしているのかもしれません。

草食系だの、女に興味が無いだの言ってる人間

農家の次男三男は、結婚しませんでした。零細な農家では、長子に全部相続させないと、代ごとに田畑が分割され、生計が立たないからです。子供の頃には労働力を搾取され、長じては村落内の適当な後家とくっ付いて性処理をし、子も作らず相続も求めない人間像が切望されました。いわゆる、部屋住み、厄介者、ですね。 
今草食系だの、女に興味が無いだの言ってる人間など、本当にこの環境に良く適合した生命体だと思います。 
長い歴史の中で、発展性に乏しい村落で生きる生命体としての適応を遂げた人類、その様な生命体が、平成末期頃からの社会的環境激変によって、不適応を起こしてるかも知れません。

empathy が sympathy に取って代わり

定型発達では, ひとみしり以降, empathy が sympathy に取って代わり,sympathy は傍流に押しやられる. それに対して,少なくとも一部の ASD では, 長じても sympathy 能力が保たれ, 時にはすぐれた感受性を示す. そればかりでなく, 定型者が, こころを経由しなければわからない他人の状態が, ASD には直接伝わることがある. たとえば, 親や周囲の人たちが抱えている不安や痛みを,直接感じ取ることができたりもする. ただし,それを言語で表現するすべをもたない. 表現するときには,パニックで反応する. こうした ASD の感受能力は見落とされがちである.

集団で狩猟採取生活をするには別の認知能力が必要であったのではないか

京都大学霊長類研究所教授(認知神経科学)の正高信男先生は自閉症スペクトラムを「生物としての人類のバリエーション(変異)のひとつ」と捉えていらっしゃるようですよ。 自閉症スペクトラムには淘汰圧がかからなかった、つまり社会を形成し集団で狩猟採取生活をするには、ある一定割合の、定型(発達)者が持っていない、別の認知能力が必要であったのではないかと。 

狩猟採取生活から農耕が始まってもなお「毎年毎年カレンダー通りに水田を耕し、水を張り、雑草を同じような手順で取り、同じような時期に刈り入れをすると言う、極めてマンネリな作業」をしている間は彼らに居場所があったといえます。 しかし、先生の指摘されるように「平成末、日本国内からはベルトコンベヤー作業の場所が著しく減った」ことが、これほどまでに発達障碍の問題がクローズアップされることになったのだと思います。 

前述した通り、ASD者はフリスの言う empathy を感じることはなくとも sympathy は感じられる、いや、むしろ強く感じるのです。 発達障碍を neurodiversity として捉えるのは、単に発達障碍当事者の問題を超え、種の保存としての人類の問題ではないでしょうか? 

発達障害問題の一断面

農業と言うのは、毎年毎年カレンダー通りに水田を耕し、水を張り、雑草を同じような手順で取り、同じような時期に刈り入れをすると言う、極めてマンネリな作業ではなかろうか。一部の局面では確かに共同作業を必要とはするが、それとても極めてマンネリ化された作業手順では無かろうか?決められた時期に参集しているだけで、作業内容は固定されており、基本的には他の作業者無視で、自分の目の前の稲穂に向かう作業が基本だ。 
言って見れば、緑色したベルトコンベヤー作業では無かろうか? 
無論、村落の指導者クラスになってくると、こうではいかない。まさに対人業務と調整業務、そして作付け状況の緻密な把握と村民への布告など、高度な作業能力を必須とする。 
そして近代化である。こう言う頭の良い人材は全て都会に最初に出て行った層になったに違いない。どこまでも指導者は指導者なのである。次に、指導者について行く程度に頭が働く者は、より下層の、より遅れて都会に出た中堅の階層になって行ったのではなかろうか? 
しかし近代化は、それ以上に村落側からの人材を吸収して行った。マンネリで、対人では無い対稲穂作業をただ延々と言われる通りに繰り返す事だけは辛うじて可能なレベルの脳を持つ層までも、都会に動員して行った。これが緑「では無い」真のベルトコンベヤー作業員なのではなかろうか。 
そして平成末、日本国内からはベルトコンベヤー作業の場所が著しく減った。これらの作業に向いた才能を持つ者の活躍できる場所、居場所、働き場所が無くなって来たのである。 
これが、発達障害問題の一断面ではなかろうかと、その様に俺など想像している。発達障害の問題とはつまり、産業構造がより対人技能を必要とする構造に変化したのにも関わらず、その方面の作業能力=知能検査で測定されうる意味での知能に恵まれ無い者を、社会の不適合者としてしまったものと考えている。

発達障碍を「左利き」に例える

発達障碍を「左利き」に例える方がいらっしゃるようです。 

確かに、かつては左利きは矯正され、左利きの者は能力が低いように言われました。 しかし、現在は左利きだからといって無理矢理矯正されることはありませんし、社会的包摂( social inclusion )の立場から様々なデバイスが左利きにも対応するようになっています。 

発達障害

旧石器時代は、狩りをしなければ生きていけません。石を投げる能力がなければ「遠投不能障害」、弓を引く能力がなければ「弓射不能障害」という風なカテゴリーをつくり、できない者は保護してあげないとその者は生きていけないでしょう(時代が時代なので保護された可能性は低いとは思いますが)。 

現代の大半の文明国家では、最低限の知能がなければ社会生活を営むことはできません。一定の知能がない者は「知的障害」として、保護しなければ生きていけません。 

そして、(その国家・文明における)”標準的な”コミュニケーション能力・自我抑制能力等がなければ、社会生活を円滑に送ることはできません。それができない者が「発達障害」とか「パーソナリティ障害」に分類されるのでしょう。旧石器時代では存在の必要性が極めて薄い概念ですが、現代では必要になってきます。 

当然ながら、脳における各種能力は各個人で差がありますので、「ASD」と診断される群とそうでない群に分けると、とある部位で脳の機能に差がでるのは当然予想されます。当たり前といえますね。「ADHD」も「dyslexia」も同じことが言えると思います。 

ですので、診断基準についてあれこれ議論しても永遠に決着がつかないでしょうし、原因・遺伝的要因を追及してもそれほど強い確定的な結果は出てこないと思われます。 

だって、運動能力の高い親からは運動能力の高い子が生まれる率は一般よりは高いですよね? 知能も遺伝的影響や、人種差はありますよね? もちろん、エピジェネティクス等の影響は無視できないので、絶対ではありませんが、どうしても影響は受けます。 

よって、ADHDっぽい親からはADHD的な傾向のありそうな子が生まれる可能性は少し高くなるでしょう。もちろん、ADHDの要素のない子が生まれる可能性も高いですし、仮にADHD傾向のある子だったとしても、生後の家庭環境・社会環境の影響も受けるので、不幸になるとは必ずしも限らないですし、実際に社会で大活躍されている方も多くいます。 

日本では、ムラ社会的な環境が強いので、ASD・ADHD傾向のある方はより生きにくい社会ですね。でも逆の視点として、一般的な日本人は他者と同調しないと生きていけない「他者同調性追及障害」である、という風に諸外国の人からは捉えられるかもしれないですね。

2018年10月15日月曜日

茅ヶ崎市での慰安婦ドキュメンタリー上映に抗議したのはあの“慰安婦像を蹴った”極右団体! 産経も抗議を扇動

茅ヶ崎市での慰安婦ドキュメンタリー上映に抗議したのはあの“慰安婦像を蹴った”極右団体! 産経も抗議を扇動

 従軍慰安婦の問題を巡って、またぞろ右派・ネトウヨたちの卑劣な攻撃が繰り出されている。今月16日に、神奈川県茅ヶ崎市の市民文化会館で行われる映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』の上映会に対し、後援する茅ヶ崎市や市教育委員会へ中止を求めるクレームを殺到させている件だ。

『沈黙-立ち上がる慰安婦』は、在日コリアン2世の朴壽南監督による、2017年公開のドキュメンタリー映画。1994年に日本政府による謝罪と個人補償を求めて来日した戦中日本軍による元慰安婦たちの姿を中心に描く、朴監督が20年以上も取材を続けて世に送り出した作品だ。2015年の安倍政権と朴槿恵政権による日韓合意についても当事者にとって真の解決といえるのかと問いかけている。

 ところが、このドキュメンタリーを「日本政府の見解と違う」と攻撃し、映画の上映を中止させようとする電話が殺到している。茅ヶ崎市の社会教育課によれば、12日現在、正式な抗議件数は把握できていないというが、市の関係者によると「とくに12日の朝から電話がずっと鳴り止まない状況」だという。抗議は他県を含む市内外からで、12日になって突然、前日までと比べ増加した。

 こうした抗議電話の増加は、産経新聞が11日18時すぎにウェブ版(12日付朝刊)で配信した「『慰安婦』映画後援 茅ケ崎市と市教委に抗議殺到」と題する記事が、火をつけたと見て間違いないだろう。この記事は、インターネットでまたたく間に拡散され、11日中には「茅ヶ崎市」がホットワードにあがっていた。

 産経記事は、映画の上映会を後援していることについて〈市と市教委に170件を超える抗議が殺到していることが11日、関係者への取材で分かった〉としたうえで、〈抗議の大半は、日本政府の見解と異なる政治的に偏った映画の上映を、中立・公平であるべき行政が後援することを問題視する内容という〉と結んでいる。

 しかし、産経の報道には明らかに抜け落ちている、あるいは意図的に書かれていない事実がある。それは、この「抗議」が、慰安婦問題を否定する歴史修正主義の極右市民団体らによって牽引されていることだ。

 たとえば、市民団体「「慰安婦の真実」国民運動」は、9月28日、Facebookおよびホームページで、〈事実に反する、また政府見解とも異なるスタンスの映画について、これを地方自治体が後援することを当団体として看過できません。本日付で、茅ヶ崎市長、教育長、そして会場となる茅ヶ崎市民文化会館にそれぞれ申し入れ書を送付しました〉と発表。さらに〈皆様にはこの上映会に対して抗議の声をあげていただき、またさらに多くの声が上がるよう、情報拡散をぜひともお願いいたします!〉と、広い抗議を呼びかけていた。

 「「慰安婦の真実」国民運動」が代表・加瀬英明氏の名で茅ヶ崎市長に送った申し入れ書は、“当時は公娼制度が存在しており、慰安婦は商業行為のひとつだった”、などと主張し、「当該イベントに対する茅ヶ崎市の後援取り消し」などと求めるものだった。なお、日本の政府見解でも「慰安婦は商行為」などとはされていない。

 加瀬英明氏は日本会議の代表委員。そして「「慰安婦の真実」国民運動」といえば最近も、当時、会の監事だった藤井実彦氏が、台湾で慰安婦像を蹴り、大きな国際問題になったことも記憶に新しい極右団体だ。

 報道によれば、今年9月6日、「「慰安婦の真実」国民運動」は、中国国民党台南市支部主任委員の謝龍介市議に慰安婦像の即時撤去を求める文書を手渡したのだが、その際、藤井氏が慰安婦銅像に蹴りを入れる姿が監視カメラに収められていた。安倍首相の“子飼い”である杉田水脈衆院議員や和田政宗参院議員もこの藤井氏と昵懇の関係にあることは本サイトで既報の通りだ(https://lite-ra.com/2018/09/post-4247.html)。

極右団体、ヘイト団体の関与をネグり、抗議を扇動する産経新聞の悪質
 この事件が海外メディアなどに報じられた当初、藤井氏は〈日本から長時間かけて台湾に到着したが、同じ姿勢を長時間続けていたために足が鬱血し、痺れていたために、到着して何度もストレッチを行なっていた。その一部が、この様に切り取られた〉などと陰謀論を主張していたが、9月12日に「「慰安婦の真実」国民運動」は〈動画・画像を見る限り、藤井氏が慰安婦像を蹴るような素振りをしたことは明らか〉と認める文をホームページで公表。藤井氏が同月11日付で同会の幹事を辞任したと発表した。

 ようするに、映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』の上映会に対する「抗議」は、慰安婦像を蹴り上げるような品性下劣な歴史修正主義団体が会員やネトウヨを扇動した、組織的運動である可能性が高い。同会の他にも、ヘイト市民団体・在特会(在日特権を許さない市民の会)の関係者や、ネトウヨ雑誌「ジャパニズム」などへの寄稿で知られる元警察官の坂東忠信氏らヘイト界隈が、ブログやSNSで茅ヶ崎市へのクレーム電話を呼びかけていたことが確認できた。

 いずれにしても、連中のいつものグロテスクな歴史修正運動のやり口には呆れるが、その運動の背景をひた隠しにして、あたかも一般市民が〈中立・公平であるべき行政が後援することを問題視〉したかのような産経新聞の報道は、極めて悪質であり、看過できるものではない。

 そのうえで言うが、そもそも「政府見解」と異なる映画が禁止されるとすれば、まさしくそれは北朝鮮や中国のような「表現の自由」のない状況を自ら求めているということになる。

 しかも、これは一部の極右団体やネトウヨだけの問題ではない。

 安倍首相は若手時代、自民党の勉強会で「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私は思っているんです」などと、“韓国は娼婦国家”という趣旨の発言までしている。

 こうした安倍首相の存在が、グロテスクな歴史修正主義をばら撒き、表現の自由を殺そうとする連中を勢いづけていることは言うまでもないだろう。茅ヶ崎市と市教育委員会は、このような卑劣な圧力に決して屈してはならない。

謂れのない圧力の中で ̶ ̶ ある教科書の選定について ̶ ̶ 和田孫博

 謂れのない圧力の中で ̶ ̶ ある教科書の選定について ̶ ̶ 和田孫博

本校では 、本年四月より 使 用 す る 中 学 校 の 歴 史 教 科 書 に 新 規 参 入 の「 学 び 舎 」 による『ともに学ぶ人間の歴史』を採択した。本校での教科書の採択は、検定 教科書の中から担当教科の教員たちが相談して候補を絞り、最終的には校長を 責任者と す る 採択委員会で決定するが、 今回の歴史教科書も同 じ 手続きを踏ん で採択を決めており、教育委員会には採択理由として「本校の教育に適してい る」と付記して 届けて いる。

ところが、昨年末にある会合で、自民党の 一 県会議員から「なぜあの教科書 を採用したのか」と詰問された。 こちらとしては寝耳に水の抗議でまともに取 り合わなかったのだが、年が明けて、本校出身の自民党衆議院議員 か ら 電 話 が かかり、「政府筋からの問い合わせな の だ が」と断った 上 で同様の質問を 投げか け てきた 。今 回 は 少 し 心 の 準 備 が で き て い た の で 、「 検 定 教 科 書 の 中 か ら 選 択 し ているのになぜ文句が出るのか分かりません。もし教科書に問題があるとすれ ば 文 科 省 に お 話 し 下 さ い 」と 答 え た 。「 確 か に そ う で す な 」で そ の 場 は 収 ま っ た 。

しかし、 二 月 の 中 頃 から、今度は匿名の葉書が次々と届きだした。そのほと んどが南京陥落後の難民区の市民が日本軍を歓迎したり 日本軍から医療や食料 を受けたり している写真葉書で、 当時の『朝日画報』や『支那事変画報』など から転用 し た 写 真 を 使 い 、「 プ ロ デ ュ ー ス ・ 水 間 政 憲 」と ある。それに「何処の 国の教科書か」とか「共産党の宣伝か」とか、ひどいのはOBを名乗って「こ んな母校には一切寄付しない」など の添え書きが ある。 こ の 写真葉 書が約五十 枚届いた。そ れが収まりかけたころ 、今度は差出人の住所氏名は書かれている ものの文面 が 全く同一の、おそらくある機関が印刷して(表書きの宛先まで印 刷してある)、賛同者に配布して送らせたと思える葉書が 全国各地から 届きだし た 。 文面を要約すると、

「学び舎」の歴史教科書は「反日極左」の教科書であり、将来の日本を担っ ていく若者を養成するエリ ー ト校がなぜ採択したのか? こんな教科書で学 んだ生徒が将来日本の指導層になるのを黙って見過ごせない。即刻採用を中 止せよ。

というものである。 こ の葉書 は未だに散発的に届いており、総数二百枚に も 上 2 る 。 届く度に同じ仮面をかぶった人たちが群れる姿が脳裏に浮かび、うすら寒 さ を 覚えた。

担当教員たち の 話 で は 、この教科書を編集したのは現役の教員やOBで、既 存の教科書が高校受験を意識して要約に走りすぎたり重要語句を強調して覚え やすくしたり しているの に対し、歴史の基本である読んで考えることに主眼を 置いた 教科書 、写真や絵画や地図など を見ることで疑問や親しみが持てる教科 書を作ろうと新規参入したとのことであった。これからの教育のキーワードと もなっている「アクティブ・ラーニング」は、学習者が主体的に問題を発見し、 思考し、他の学習者と協働してより深い学習に達することを目指すものである が、そういう意味ではこの教科書はまさにアクティブ・ラーニングに向いてい ると言えよう。逆に高校入試に向けた受験勉強には向いていないので、採択校 の ほとんどが、私立や国立の中高一貫校や大学附属の中学校であった。それも あって、先ほどの葉書のように「エリート校が採択」という 思い込みを持たれ たのか もしれない 。

 三月十九日の産経新聞の一面で「慰安婦記述 三十校超採択 ̶ ̶ 「学び舎」 教科書 灘中など理由非公表」という見出しの記事が載った。 さすがに大新聞 の記事であるから、「 共産党の教科書 」と か「 反日極左 」というような表現は使 われていないが、この教科書が 申請当初は慰安婦の強制連行を強くにじませた 内容だったが検定で不合格となり 、 大幅に修正し再申請して合格した こ と が 紹 介され、本年度採用校として本校を含め七校が名指し になっていた 。 本校教頭 は電話取材に対し 、「検定を通っている教科書であり、貴社に 採 択 理由をお答え する筋合いはない」と 返 事 をした のだが、それを「理由非公表」と記事にされ たわけである。 尤も、 産経新聞がこのことを記事にしたのには、 思想的 な 背 景 以 外 に 別 の理由もありそう だ 。 フジサンケイグループの子会社の「育鵬社」 が 『新しい日本の歴史』 という教科書 を出している。新規参入の 「学び舎」の 教 科 書 が 予 想 以 上 に 多 く の 学 校 で 、し か も「 最 難 関 校 と 呼 ば れ る 」( 産 経 新 聞 の 表 現 )私学や国立大付属の中学校で採択されたことに、親会社として危機感を持 っ た のかもしれない。

しかし これが口火となって 、 月刊誌 『Will』の六月号に、近現代史研究 家を名乗る水間政憲氏(先ほどの南京陥落 写 真 葉 書 の プ ロ デ ュ ー サ ー )が 、「 エ リート校―麻布・慶應・灘が採用したトンデモ歴史教科書」という二十頁にも 及ぶ大論文を掲載した。 また、 水間政憲氏が CSテレビの「日本文化チャンネ ル桜」に登場し、同様の内容を講義した という情報も入ってきた 。 そこで、こ の水間政憲氏のサイトを 覗いて みた。 すると 「水間条項」というブログページ があって 、記事一覧リストに「緊急拡散希望《麻布・慶應・灘の 中学生が反日 極左の歴史教科書の餌食にされる;南京歴史戦ポストカード で対抗しましょう 》」 という項目があ り 、 そこを 開いてみると次のような呼びかけが 載っていた 。

 私学の歴史教科書の採択は、少数の歴史担当者が「恣意的」に採択してい るのであり、 O B が「今後の寄付金に応じない」とか「いつから社会主義の 学校になったのか」などの抗議によって、後輩の健全な教育を護れるのであ り、一斉に声を挙げるべきなのです。

 理事長や校長、そして「地歴公民科主任殿」宛に「 O B 」が抗議をすると 有効です。

 そして 抗議の 文例として「 インターネットで知ったのですが、 O B として情 けなくなりました 」と か「 将来性ある若者に反日教育をする目的はなんですか。 共産党系教科書を採用しているかぎり、 O B として募金に一切応じないように します 」が挙げられ 、その後に採択校 の 学校名、学校住所、理事長名、校長名、 電話番号が列挙されている。本校の場合はご丁寧に「 講道館柔道を創立した柔 道の神様嘉納治五郎が、文武両道に長けたエリート養成のため創設した学校で すが、中韓に媚びることがエリート養成になるような学校に変質したようです。 嘉納治五郎が泣いていますね … … 」という文例が付記されている。あらためて 本校に送られてきた絵葉書の文面を見ると、 そのほとんどがこれらの文例その ままか少しアレンジしているだけであった。どうやらここが発信源 のようだ。

 この水間氏はブログの中で「明るい日本を実現するプロジェクト」なるもの を展開 し ているが、今回のもそのプロジェクトの一環であるようだ。ブログ中 に「 1000 名(日本みつばち隊)の同志に呼び掛け一気呵成に、『 明るい日本 を実現するプロジェクト 』 を推進する 」とあり、いろいろな草の根運動を発案 し 、全 国 に い る 同 志 に 行 動 を 起 こ す よ う 呼 び か け て い る と 思 わ れ る 。ま た 氏 は 、 安倍政権の後ろ盾組織として最近よく話題に出てくる日本会議関係の研修など でしばしば講師を務めているし、東日本大震災の 折 には日本会議からの依頼を 受けて民主党批判をブログ上で拡散した こ と もあるようだが、日本会議の活動 は「草の根運動」が基本にあると言われており(菅野完著『日本会議の研究』 扶 桑 社 )、上 述 の「 日 本 みつばち 隊」もこの草の根運動員の一部なのかもしれな い 。

このように、検定教科書の選定に対する 謂 れ のない投書に関しては経緯がほ ぼ解明できたので、後は無視す るのが一番だと思っているが、事の発端になる 自民党の県会議員や衆議院議員からの問い合わせが気になる。現自民党政権が 日本会議を後ろ盾としているとすれば、そちらを通しての圧力と考えられる か ら だ。ちなみに、県の私学教育課や教育委員会義務教育課、さらには文科省の 知 り 合 い に 相 談 し た と こ ろ 、「 検 定 教 科 書 の 中 か ら 選 定 委 員 会 で 決 め ら れ て い る の ですから何の問題もありません」とのことであ っ た 。そうするとやはり、行 政ではなく政治的圧力だと感じざるを得ない。

そ んなこんな で 心 を煩わせていた頃、歴史家の保坂正康氏の『昭和史のかた ち 』( 岩 波 新 書 )を 読 ん だ 。そ の 第 二 章 は「 昭 和 史 と 正 方 形 ̶ ̶ 日本型ファシズ ム の原型 ̶ ̶ 」というタイトルで、要約すると次のようなことである。

ファシズムの権力構造はこの正方形の枠内に、国民をなんとしても閉じこ めてここから出さないように試みる。そして国家は四つの各辺に 、「情報の一 元 化 」「 教 育 の 国 家 主 義 化 」「 弾 圧 立 法 の 制 定 と 拡 大 解 釈 」「 官 民 挙 げ て の 暴 力 」 を置いて固めていく。そうすると国民は檻に入ったような状態になる。国家 は四辺をさらに小さくして、その正方形の面積 をより狭くしていこうと試み るのである。

保坂氏は、満州事変以降の帝国憲法下の 日本で は 、「 陸軍省新聞課による情報 の 一 元 化 と 報 道 統 制 」「 国 定 教 科 書 の フ ァ シ ズ ム 化 と 教 授 法 の 強 制 」「 治 安 維 持 法 の 制 定 と 特 高 警 察 に よ る 監 視 」「 血盟団や 五・一五事件など 」がその四辺に当 たるという。

では、現在に当てはめるとどうなるのだろうか。第一辺については、政府に よる新聞やテレビ放送への圧力 が 顕在的な問題となっている。第二辺について は 、 政治主導の教育改革が強引に進められている中 、今回のように学校教育に 対して有形無形の圧力がかかっている。第三辺については、安保法制に関する 憲法の拡大解釈が行われるとともに緊急事態法という治安維持法にも似た法律 が取り沙汰されている。第四辺に関しては流石に官民挙げてとまではいかない だろうが、ヘイトスピーチを振りかざす民間団体が幅を利かせている。そして 日本会議との関係が深い水間氏のブログからはこれらの団体との近さがにじみ 出ている 。 もちろん現憲法下において戦前のような軍国主義やファシズムが復 活するとは考えられないが、多様性を否定し一つの考え方しか許されないよ う な閉塞感の強い社会という意味での 「正方形」は間もなく完成する、いやひょ っとすると既に完成しているのかもしれない。

「謂れのない圧力の中で──ある教科書の選定について──」

中学・高校での歴史教科書をめぐり、いまネット上で、ある文書が注目を集めている。「謂れのない圧力の中で──ある教科書の選定について──」と題された4ページの論文。2016年、富山大学教授・松崎一平氏が代表の「グループ帆」が編集・発行する「とい」という論文集に掲載され、同ホームページ上でも公開されている。著者は、受験最難関クラスである私立灘中学校・灘高等学校(神戸市)の和田孫博校長だ。
 和田校長の論文は、歴史教科書の採択をめぐり、政治権力や右派勢力による具体的かつ組織的な“圧力”があったことを、赤裸々に物語っている。
 灘中は、2015年に「学び舎」という出版社がつくる新規の歴史教科書「ともに学ぶ人間の歴史」を採択し、昨年度から授業で用い始めた。産経新聞16年3月19日付によれば、この学び舎教科書は、灘中以外にも麻布中学校や筑波大学附属駒場中学校、東京学芸大附属世田谷中学校など、少なくとも国立5校、私立30校以上で採択されたという。
 ところが、和田校長が前述の論文で明かしたところによれば、学び舎教科書を採択した15年の末、〈ある会合で、自民党の一県会議員から「なぜあの教科書を採用したのか」と詰問された〉という。さらに年明けには〈本校出身の自民党衆議院議員から電話がかかり、「政府筋からの問い合わせなのだが」と断った上で同様の質問を投げかけてきた〉というのだ。
 和田校長は、この自民党衆院議員に対して「検定教科書の中から選択しているのになぜ文句が出るのか分かりません。もし教科書に問題があるとすれば文科省にお話し下さい」と答えたというが、実際、文科省によれば国立や私立学校の教科書の採択の権限は校長にある。また、文科大臣による教科書検定は4年ごとに行われるが、学び舎の「ともに学ぶ人間の歴史」は直近の平成27(2015)年に検定を通っている。つまり、この教材を学校が採択するのに問題など何ひとつないのだ。
 しかし一方で、学び舎教科書は歴史修正主義の右派から強く敵視されていた。というのも、平成16年度検定以降、この教科書が他の中学校教科各社が一切採用しなかった慰安婦に言及し、河野談話も取り上げたからだ。
 自民党議員が「政府筋の問い合わせ」として、灘中の校長に対し「なぜあの教科書を採択したのか」などとわざわざ問い合わせたのは、明らかにこの歴史修正主義の立場からプレッシャーをかけてきたとしか考えられない。
 しかしとんでもないのはここからだ。自民党議員からの「問い合わせ」の翌月から、「何処の国の教科書か」「共産党の宣伝か」などと誹謗する匿名のハガキが灘中に次々と届きだしたという。

自民党議員の問い合わせの後、同じ文面の抗議ハガキが灘高に殺到

 和田校長の論文によれば、2016年2月中旬ごろから〈南京陥落後の難民区の市民が日本軍を歓迎したり日本軍から医療や食料を受けたりしている写真葉書〉約50枚が送られ始め、なかには灘のOBだと自称して「こんな母校には一切寄付しない」と添えられたものもあったという。
 さらに、この写真葉書が収まりかけると、次は〈文面が全く同一の、おそらくある機関が印刷して(表書きの宛先まで印刷してある)、賛同者に配布して送らせたと思える葉書が全国各地から届きだした〉。内容を要約すると、〈「学び舎」の歴史教科書は「反日極左」の教科書であり、将来の日本を担っていく若者を養成するエリート校がなぜ採択したのか? こんな教科書で学んだ生徒が将来日本の指導層になるのを黙って見過ごせない。即刻採用を中止せよ〉というもので、実に200枚以上にものぼったという。
 明らかにネット右翼的なクレームの手法であり、しかも組織的な“運動”を思わせる。実際、和田校長によれば、2月ごろからの写真葉書には、「プロデュース・水間政憲」と記されていたという。
 水間政憲氏といえば、慰安婦問題などを否定するなどの論陣を張っている自称ジャーナリスト・現代史研究家。ネトウヨ御用達の「文化放送チャンネル桜」への出演や、「正論」(産経新聞社)、「Voice」(PHP研究所)など右派論壇誌への寄稿で知られる。近著である『ひと目でわかる「GHQの日本人洗脳計画」の真実』『ひと目でわかる「日の丸で歓迎されていた」日本軍』(ともにPHP研究所)を読んでもわかるように、戦前・戦中日本を美化するバリバリの歴史修正主義者で、その著書は百田尚樹氏らネトウヨ系文化人の“元ネタ”にもなってきた。
 この水間氏の「プロデュース」により、灘中に対するクレーム葉書攻撃が仕掛けられたのはほぼ間違いないだろう。

極右現代史研究家がプロデュースしていた灘高への抗議活動

 和田校長も指摘していたが、水間氏は「WiLL」(ワック)16年6月号と7月号に「エリート校──麻布・慶応・灘が採用したトンデモ歴史教科書」なる論文を寄稿しており、そのなかで学び舎教科書を「まるで中国の教科書」と批判。〈中国・韓国に阿るエリートを要請するためにつくられた〉〈自虐のレベルを遥かに超えた「中国・韓国御用達教科書」と認識すべき〉とまくし立て、〈同教科書の究極の狙いは、(略)我が国を根底から解体することであるように思えてなりません〉(以上6月号より)との妄想を開陳している。
 そして、水間氏のブログを見ると、「学び舎の反日極左歴史教科書採択問題」などと名付け、〈抗議する方のために〉として学び舎教科書を採択した学校名と校長名、住所などを列挙。この“抗議宛先情報”を何度も投稿しつつ、こんなアジテーションをがなり立てていた。
〈緊急拡散希望《麻布・慶應・灘の中学生が反日極左の歴史教科書の餌食にされる;南京歴史戦ポストカードで対抗しましょう》〉(16年3月15日)
〈『学び舎』の歴史教科書を採択した学校の理事長や校長にOBが「南京歴史戦ポストカード」を送りつけると、『学び舎』の歴史教科書の使用を中止する可能性があるのです。〉(同)
〈反日極左の学び舎の歴史教科書を採用した下記の中学校に抗議をお願い致します。〉(16年4月20日)
 しかも、水間氏のブログでは、わざわざ〈インターネットで知ったのですが、OBとして情けなくなりました〉〈OBとして募金に一切応じないようにします〉などという文例まで用意されていたが、灘中の和田校長の前掲論文によれば〈あらためて本校に送られてきた絵葉書の文面を見ると、そのほとんどがこれらの文例そのままか少しアレンジしているだけであった〉という。
 ちなみに、水間氏のブログに出てくる「南京歴史戦ポストカード」なるものは16年2月に和田校長のもとに届けられたものと同じだと思われるが、これは、水間氏が関わる「明るい日本を実現するプロジェクト」なる右派運動で用いられているもので、「南京ポストカード」の他にも「尖閣ポストカード」や「日韓歴史戦ポストカード」などがあるらしい。
 水間氏は中山恭子参院議員と共演した「チャンネル桜」16年1月8日放送回のなかで、「これをね、世界中で何十万単位でばらまくことができたら、たぶん歴史戦勝てると思います」などと得意げに解説していたが、そんなポストカードをばらまくだけで外交や歴史認識の問題が右派の思いのままになるとは思えない(まあ、ネトウヨたちは信じるかもしれないが)。
 しかもこれ、有料である。水間氏のホームページによれば、この「歴史戦ポストカード」約40枚とA3版尖閣地図、解説書などを1セットとして2000円で販売しているという。その金額に、むしろ、「歴史戦」と称したネトウヨ向け“保守ビジネス”の匂いがプンプンしてくるのだが……。

アクティブラーニングのために採用した教科書を「反日左翼」と

 しかし、仕掛け人の意図はともかく、こうした右派のクレームが波状攻撃的に行われれば、教育現場に対する“圧力”になるのは間違いない。実際、和田校長も〈届く度に同じ仮面をかぶった人たちが群れる姿が脳裏に浮かび、うすら寒さを覚えた〉と記している。しかも連中は、卑劣にも学校のOBだと名乗って「寄付をやめる」などと恫喝しているわけである。違法性も疑われる案件だ。
 加えて、こうしたクレーム攻撃を仕掛けた連中は、学び舎教科書を「反日極左」「中国の教科書」「日本を解体させるのが目的」などと主張しているが、これも馬鹿げた話である。
 そもそも、学び舎の教科書は、語句を暗記させる従来の教科書とは違い、生徒に「これ、何?」「どうして」と考えさせることを目的につくられており、論争になるような問題に踏み込んでいるのもそのためにすぎない。
 灘中の和田校長も〈これからの教育のキーワードともなっている「アクティブ・ラーニング」は、学習者が主体的に問題を発見し、思考し、他の学習者と協働してより深い学習に達することを目指すものであるが、そういう意味ではこの教科書はまさにアクティブ・ラーニングに向いていると言えよう〉と評価している。
 つまり、水間氏らが言うような陰謀論のために採択したわけではなく(当たり前だ)、同校の教科書としてふさわしいから使っているのだ。繰り返すが学び舎教科書は文科省の検定をクリアしているので、慰安婦に関する記述もそのガイドラインの範疇。そう考えても、連中のクレームに正当性など微塵もないのである。
 しかし、重要なのは、この件が単に有名私学の教科書採択に対する右派とネトウヨの嫌がらせに終わらないということだ。前述したように、和田校長は例のポストカード攻撃以前に、自民党の県議会議員と国会議員から「なぜあの教科書を採用したのか」と問い詰められたことを明かしている。これは、完全に政治的圧力に他ならない。

抗議運動の背景に、自民党の議員、日本会議の存在か

 また、和田校長は、クレーム運動を扇動した水間氏がたびたび日本会議系の研修で講師を務めていることを指摘したうえで、このように述べている。
〈(前略)事の発端になる自民党の県会議員や衆議院議員からの問い合わせが気になる。現自民党政権が日本会議を後ろ盾としているとすれば、そちらを通しての圧力と考えられるからだ。ちなみに、県の私学教育課や教育委員会義務教育課、さらには文科省の知り合いに相談したところ、「検定教科書の中から選定委員会で決められているのですから何の問題もありません」とのことであった。そうするとやはり、行政ではなく政治的圧力だと感じざるを得ない。〉
 日本会議が歴史改竄主義の教科書改悪運動と統一戦線を張っていることは確かだ。この件に関して日本会議が何かしらの指示をしたかは現時点で不明だが、安倍政権そのものが政治的圧力を仕掛けたことは確実だろう。
 というのも、この議員からの問い合わせ以外にも、安倍政権は学び舎教科書を標的にしているからだ。例えば16年4月には、義家弘介文部科学副大臣が、15年年度の中学教科書採択をめぐって採択理由を公表した国立中が約1割だったことを理由に、都内国立中2校を視察。そのうちの一校である東京学芸大附属世田谷中は学び舎教科書を採択した学校だった。義家文科副大臣は「採択のプロセスが明文化されていない」「国民の税金で営まれている学校が、外に向けて公表していない。信頼に足る運営をしていただきたい」と問題視したという(産経新聞16年4月5日付)。
 こういう状況を鑑みれば、安倍政権がネット右翼的なトンデモクレーム運動と事実上一体となって、教育現場への圧力を強めていると言わざるをえない。実際、安倍首相は第一次政権で「愛国心条項」を盛り込む教育基本法改悪を行い、昨年には自民党がHPで「子供たちを戦場に送るな」と言う教員を取り締まるための“密告フォーム”を設置して大きな問題になった。
 灘中の場合は和田校長によって政治圧力の存在が露見したが、こうした事態は氷山の一角と見るべきだろう。このまま政権をのさばらせておけば、学校教育の現場から自主性はどんどん奪われ、戦争を美化し、お国のために命を投げ出すような洗脳教育機関になってしまうのは火を見るより明らかだ。わたしたちは、安倍政権と右派運動による卑劣な教育への圧力に、いっそう反対の声を強くしていかねばならない。



2018年9月22日土曜日

2018年9月11日火曜日

前川喜平氏語る

 安倍首相が3選を狙う自民党総裁選が7日、告示された。投開票は20日だ。安倍が続投すれば、世論の7割以上が不信感を抱き続けるモリカケ問題の再燃は避けられない。その一方で、教育行政への介入が一層強まる懸念もある。加計学園問題を巡る決定的な証言で安倍を追い込み、目の敵にされる前川喜平氏(63)はどう見ているのか。

■「石破4条件」は下村元文科相が作らさせた

  ――「あったことをなかったことにはできない」と告発した加計問題の真相はいまだ藪の中です。

 当事者の安倍首相や加計孝太郎理事長は事実を認めていませんが、学園が国家戦略特区を利用して獣医学部を新設するに至ったプロセスの全貌は、ほぼ明らかになったと言っていい。私が直接見聞きしたのは2016年8月から11月にかけてですが、一連の文科省文書や愛媛県文書や証言によってすべて浮き彫りになっています。

  ――愛媛県文書では「加計ありき」でコトが始まり、「加計隠し」で進んだのが鮮明です。

 衝撃的なのは柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言です。15年4月2日に学園関係者、愛媛県と今治市の職員と官邸で面会した際に「本件は首相案件である」と口にした。首相から直接言われなければ、そういう言い回しには絶対にならない。首相秘書官はいわば側用人。首相の言葉を秘書官に伝達する人間は存在しません。愛媛県文書によって、15年2月から4月にかけての出来事はよく分かる。今治市が特区に提案する前のこの時期に、安倍首相と加計理事長は少なくとも2回会っている。そのうちの1回は15年2月25日に15分程度。おそらく官邸でしょう。

  ――面会で安倍首相は獣医学部構想について「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と応じたと記載がありますが、「首相動静を見る限り、お目にかかっていない」と否定しています。

 首相動静に書いていないという言い訳はひどい。首相の面会記録は秘書官が必ず持っていますよ。首相動静は番記者が首相の動向をチェックしてまとめたものですが、官邸の正面玄関で来訪者に「総理に会うんですか?」と確認しているんです。官邸には裏口がある。私自身、記者に気付かれないで官邸に入ったことがあります。

  ――どのような形で?

 文科省の天下り問題で杉田和博官房副長官に何度か説明に行きました。記者の目につくのはよくない状況だったので、文科省の出向者に業務用車両の通用口で待機してもらいました。そういうルートを使えば、記者の目に触れずに官邸内のどこまでも行けるんです。

  ――獣医学部新設の壁となる「石破4条件」は「下村4条件」だったといわれている。下村博文元文科相は安倍首相の側近で、学園からの闇献金疑惑が浮上しています。

 下村元文科相はもともと学園と関係があった。愛媛県文書からは、安倍首相と加計理事長が会食する以前に下村元文科相が学園に「課題」を出していたことが分かります。「課題」は後に閣議決定された「石破4条件」のもとになったもの。石破茂氏が特区を担当する地方創生相時代に閣議決定したため「石破4条件」と呼ばれるようになりましたが、その原型は下村元文科相が高等教育局に指示して作らせたものなのです。獣医師増加につながる獣医学部新設は認めないという原則のもとで例外を認めるには、従来の獣医師がやっていない新しい分野の人材ニーズがあり、そうした獣医師の養成は既存の大学ではできない、という条件が必要になる。これは非常に高いハードルで、条件を満たすのは極めて難しい。下村元文科相は安易に考えたのかもしれませんが、学園はその「課題」をこなせなかった。

  ――安倍首相と加計理事長の会食の席で、安倍首相が「課題への回答もなくけしからん」という下村元文科相の発言を伝えたとされます。しかし、4月2日の面会以降はトントン拍子に進んだ。

 愛媛県文書によると、その「回答」について学園は、柳瀬氏から〈今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよい〉と非常に的確なアドバイスを受けています。特区認定事業は国際競争力の強化、国際経済拠点の形成といったものに限られる。逆に言うと、その説明さえできれば通る。役人言葉で言う「作文」です。中身がなくてもそれらしい言葉が並んでいればいい。特区の提案書は、その道のスペシャリストの藤原豊地方創生推進室次長(当時)が指南する手はずになっていた。試験官が模範解答を教えるようなものです。

  ――まさに手取り足取り。文科省の私大支援事業を巡る汚職事件では、前科学技術・学術政策局長の佐野太被告も東京医科大に申請書類の書き方を指南したとされます。

「要はどうやってだますかですよ」という音声データが流れていましたね。「一番の殺し文句は、新しい学問の領域をつくる。これが最終目的ですと」とも。
 
安倍政権の危うさはこれまでの比ではない

  ――愛国心を養う教育改革に熱を入れる安倍政権は文科省に対する圧力を強めてきた。相次ぐ不祥事発覚は“文科省潰し”との見方もあります。

 この事件の裏で一体何が起きているのか、全体像がつかみきれない不可解さはある。ただ、文科省の信用がまた落ちてしまったのは極めて残念です。私自身が天下り問題で信用を失墜させた責めを負ったわけですから。

  ――教育行政への政治介入はどうですか。安倍シンパの国会議員が文科省と名古屋市教育委員会を通じて前川さんが授業をした中学校に圧力をかけました。

 第1次安倍政権の06年に教育基本法が改正された影響は大きいですね。教育の自主性が非常に弱められた。教育と教育行政の関係について定めた旧教育基本法第10条はとりわけ重要な条文だったのですが、大きく改変されてしまいました。

  ――〈教育は(中略)国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの〉とのくだりですね。

 政治権力は教育に介入しないという趣旨でした。この文言と入れ替わったのが、〈この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの〉。法律に根拠があれば、政治権力が教育に介入してもいいと解釈される余地が生まれた。

■教育基本法改正で教育行政介入にお墨付き

  ――与党勢力が国会の3分の2を占める状況では、教育に介入する法律の制定は難しくない。

 作ろうと思えばなんぼでも作れるんです。教育への政治介入にお墨付きを得たと思っている政治家も多いでしょう。国を愛する態度を養え、家庭教育はこうせい、とも書き加えられた。政治の力で教育を変えようとする動きは非常に強まっている。安倍首相を支援する日本会議の思想と連動しています。日本会議は憲法改正と同時に教育を根本的に変えようとしている。教育を国家のための人間づくりととらえ、国家に奉仕する人間をつくろうとしている。憲法も教育も戦前回帰の危険が強まっていると思います。

  ――物議を醸している道徳の教科化は今年度から小学校、来年度から中学校で実施されます。

 道徳教育は特に危険ですね。政治圧力に忖度する、迎合する、屈する。そういう教育委が出てくる可能性がある。日本会議は地方議会にも根を張っている。僕に言わせると、彼らはファシストですよ。気の弱い教育長や校長が顔色をうかがうようであれば、現場の先生たちの自由が縛られかねない。これが心配ですが、都立七生養護学校の性教育を巡る11年の東京高裁判決が参考になります。

  ――どんな内容か?

 都議3人が授業を非難し、都教委を動かして学習指導要領違反で教員を処分させたのです。教員や保護者が教育への不当介入だとして都議らを相手取って損害賠償などを求める訴訟を起こし、1審、2審とも原告側勝訴でした。

  ――心強い判例ですね。

 ただ、最近は司法も危うくなってきている印象です。高校無償化を巡る朝鮮学校の訴訟に原告側で関わっているのですが、1審判決の原告側勝訴は大阪地裁だけ。東京、広島地裁は国が勝ち、政治に忖度しているとしか思えないような判決内容でした。警察も検察も信用できない。安倍首相と昵懇で、「総理」などの著書がある(元TBSワシントン支局長の)山口敬之氏に対する準強姦容疑の逮捕状が執行停止になり、検察も不起訴にした。警察、検察に官邸の支配が及んでいるとしか考えられない。安倍首相があと3年も続投したら、最高裁は安倍政権が任命した裁判官だらけになってしまう。安倍政権の危険さはこれまでの比ではない。このままでは本当に危ないと思います。

2018年9月9日日曜日

官邸主導


無意味なサプリ

巨大な健康食品市場の深い闇
週刊現代
これだけ新聞やテレビで大々的に宣伝しているんだから効くのだろう。医学的根拠もあるに違いない。そう信じて飲み続けてきたのに……。メーカーが決して言わない、サプリの「不都合な真実」。

膝の痛みに効く?
階段の昇り降りの際、膝がズキッと痛む。そんな変形性膝関節症を抱える中高年を対象に、「関節痛を和らげる」「擦り減った軟骨が再生する」と喧伝され、現在最も売れているサプリがグルコサミンとコンドロイチンだ(両方が配合された商品も多い)。

だが、武蔵国分寺公園クリニックの名郷直樹院長は「飲んでもほとんど効果はない」と語る。

「グルコサミン、コンドロイチンが軟骨の成分であるのは事実ですが、サプリメントとして経口摂取しても軟骨は再生しません。

グルコサミンやコンドロイチンは、糖やアミノ酸からできており、体内に入ると分解される。それが、再びグルコサミンやコンドロイチンに再合成され、膝の軟骨になるとは考えづらい。

髪の毛の成分を飲んだからといって髪は生えないのと同じで、軟骨の成分を飲んだからといって、軟骨は再生されないのです」

その上、膝などの軟骨部分には血管が少なく、摂取したものが届くのかも不明だ。

'10年9月には英国医師会誌『BMJ』に「グルコサミン、コンドロイチンが関節や股関節の痛みに効くという明確な結果は得られなかった」という研究報告が掲載された。

また世界的権威のある医学総合誌『ニューイングランド・ジャーナル』('06年)でも「1583人を4グループに分け、コンドロイチン単体、グルコサミン単体、その両方、偽薬単体を6ヵ月間投与したが、はっきりとした差は出なかった」との報告が発表されている。

「本当にその症状に効くというデータが実証されれば、医薬品として承認されるはず。しかし、グルコサミンやコンドロイチンのサプリに、今のところそんな気配はまったくありません」(名郷氏)

サプリの広告やパッケージに謳われている効果は、医学的に実証されたものではない。にもかかわらず、あたかも効果があるように宣伝するのは「誇大広告」と言われても仕方がない。

消費者庁も問題視
先頃、バストUP効果とダイエット効果を同時に叶えることができると謳ったサプリメント「B-UP(ビーアップ)」に対して、消費者庁は「景品表示法違反」に当たるとして措置命令を下した。

消費者庁・食品表示対策室の担当者が語る。

「販売元のミーロードにこのサプリの効果の裏付けとして、合理的な根拠を出すように指示しましたが、適切な資料は出てきませんでした。

つまり、パッケージやWEBサイトに書かれたような効果は実際はなく、『いい加減な商品』だったというわけです。

このまま販売すると消費者を欺く可能性があるので、景品表示法違反として、消費者へ周知徹底をするように指導しました」

サプリには医学的、科学的根拠がない――。

グルコサミン同様、変形性膝関節症に効くと言われているヒアルロン酸も、国立健康・栄養研究所の報告では「ヒアルロン酸注射(関節内投与)については一定の効果が認められているが、経口摂取によるヒトでの有効性について信頼できるデータは見当たらない」と断言されている。

『そのサプリ、危険です!』の著者で、予防医療サプリメントアドバイザーを務める柴田丞氏が語る。

「いくらサプリでヒアルロン酸を飲んでも、グルコサミンやコンドロイチンと同じく、それが直接関節に作用するわけではありません。体内でブドウ糖とアミノ酸に分解されるだけです。

メーカーの宣伝には『痛みが消えた』『歩くのが楽しくなった』という使用者の声が多数掲載されていますが、それが本当かどうか確かめるすべはありません。そもそも痛みは数値化できるものではないので、本人の思い込みによる部分が大きく、エビデンス(医学的証拠)に乏しい。

効果が解明できないことを逆手にとって、悪質なメーカーが粗悪品を出していることもある」

あくまで「健康食品」
サプリを含む健康食品は、今や売り上げが2兆円に迫る巨大な産業にまで成長。'12年に内閣府消費者委員会が発表した調査によると「50代以上の約3割が健康食品をほぼ毎日利用している」という。

だが、そもそもサプリメントとは「医薬品」ではなく、あくまで「健康食品」でしかないことを忘れてはならない。

「サプリと医薬品の違いは、規格があるかないかです。医薬品には規格があり、原料がどのようにして製造され、どのような保管をされ、どのように販売されるかすべてに対して一定の基準を満たしていなければならない。

当然、効果に対しての根拠も厳しく求められる一方で、どの病気や症状に効くのかをはっきりと表示することができる。

これに対して、サプリは栄養補助食品であり、病気を治す医薬品とは明らかに違います。なのでサプリは『〇〇に効く』という露骨な表現はできません。しかし、それさえ謳わなければ、確固とした根拠がなくとも、食品なので販売できてしまうのです」(前出の柴田氏)

サプリは12種類のビタミンと5種類のミネラルのいずれかが一定量含まれていれば、厚生労働省に届け出をすることもなく「栄養機能食品」と表示することができる仕組みになっている。

そのためサプリ市場への参入は敷居が低く、極端なことをいえば一般人でも原料を買って、工場と契約すればサプリを作り、販売できてしまう。実際、そういった受注を請け負う工場も存在する。

とはいえサプリを飲んでいる人の中には、実際に効果を感じている人もいるだろう。

「確かに、効くと信じて飲むことで『プラシーボ効果』(思い込みによる偽薬効果)により、体調がよくなったと感じる人がいます。

しかし、それはあくまで気持ちの問題であって、医学的に効果があったことを証明することにはなりません」(大学病院の内科医)

ビタミン剤も…?
グルコサミンなどに次いで多くのメーカーが販売しているのがビタミン剤である。

だがその効果のほどはやはり怪しい。

サプリ大国、アメリカでは、'13年にマルチビタミンサプリを含むほとんどのビタミン剤について、「明白な恩恵があることは証明されなかった」という論文が科学誌『アナルズ・オブ・インターナルメディシン』に発表され、大きな話題を呼んだ。

テキサス大学教授で、同誌の副編集長でもあるシンシア・マルロウ医師が言う。

「確かに現代の食生活ではビタミン不足の人が増えています。だからといって、マルチビタミンのサプリを摂るのは間違いです。

その人にどんなビタミンが不足しているか検査もせず、個々人の体調を無視してマルチビタミンを摂り続けても意味はない。それどころか、飲みすぎると害になる可能性すらあることがわかりました」

マルロウ氏によれば、ビタミンAやビタミンE、ベータカロチンなどは、体内の酸化を防ぐ抗酸化作用があり「アンチエイジングやがんの予防にもつながる」と宣伝されているが、摂取しすぎると「若返るどころか、がんを促進し寿命を縮める」危険性があるという。

サプリメントに詳しい銀座東京クリニックの福田一典院長が解説する。

「抗酸化作用があると宣伝されているサプリは老化を防ぐと言われますが、それは激しい運動をして活性酸素がたくさん出た場合には多少は効果があるかもしれない、という程度の話です。運動もせずに抗酸化サプリを飲むと、逆に健康を害する。

身体というのは多少の酸化傷害があると、それを消去するために、自分の体内で抗酸化酵素を作ります。ところが抗酸化サプリを飲むと、そういう身体の働きが無くなってしまい、がんの発生を促進するのです」

アレルギーを引き起こす
日本では早くから健康食品として製品化され、「がん予防にもなる」と喧伝されるクロレラ。だが、実は国民生活センターの健康被害報告では上位にのぼる。

『病気になるサプリ 危険な健康食品』の著者で法政大学教授の左巻健男氏が語る。

「動物実験の結果しかないため、がんに対するクロレラの有効性を示した科学的データはありません。クロレラは細胞壁が非常に硬いため消化分解しづらく、過剰に摂取すると肝機能障害を起こすことが分かっています」

近年「元気の源」「疲労がとれる」サプリとして一気にブームになったのが、コエンザイムQ10だ。

エネルギー代謝を活発にして、疲労回復や美肌効果、加齢による体力の衰えを回復させる効果が期待できると喧伝されているが、体内のコエンザイムQ10が減ってしまった後、外から補給したとしても、本当にエネルギー生産が活性化されるかは分かっていない。

男の夜の営みにビンビン効くというマカはどうか。

「これも科学的な有益性は認められていません。しかも粗悪品が非常に多い。'08年に愛知県の食品販売業者が販売したマカサプリが原料の段階で放射線照射されていたことがわかり、回収命令が出たことがあります。

最近、個人輸入でサプリを購入する方が多いのですが、マカなどの男性機能改善系サプリを調べたところ50種類中35種類にバイアグラの成分が入っていたという事例もあります。

バイアグラは医薬品であり副作用も多く、心臓への負担も大きい。だから、男性器機能改善系のサプリは極力、個人輸入で買うのは避けたほうが良いでしょう」(前出の柴田氏)

お肌がプルプルになると言われ、アンチエイジングのサプリとして女性に親しまれるコラーゲン。だが、このコラーゲンもまた経口摂取による効果は認められていない。

コラーゲン鍋を食べた後、肌がプルプルになったという人がいるが、それは思い込みにすぎないのだ。

薬剤師で医薬情報研究所(株)エス・アイ・シー取締役の堀美智子氏が語る。

「最近は『低分子コラーゲン』といって、吸収を早めると謳うサプリも出ていますが、結局は体内でアミノ酸やペプチドに分解されてしまい効果はないという説もあり、効果のほどは未知数です」

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同じく美白や若返り、更年期障害に効果があると、盛んに宣伝されているプラセンタも効果のほどは疑問だ。

「プラセンタとはいわゆる『胎盤』のことです。この胎盤から抽出したエキスに美容効果があると考えられ、医薬品としても使われていますが、その医薬品ですら効果は不確かなものです。

ちなみに市販されているプラセンタはヒトではなく牛や豚、馬などの胎盤を使っている。これがヒトにどの程度、効果があるのかは不明です」(前出の左巻氏)

さらにサプリで心配されるのがアレルギーだ。

蜂蜜を原料にして「抗菌作用がある」「炎症を抑える」などと言われるローヤルゼリーやプロポリスは、経口摂取における有効性については十分なデータが見当たらないばかりか、アトピーや喘息などの既往歴がある人は、アレルギー反応が高い頻度で起きることが分かっている。

重篤な場合は「アナフィラキシーショック」を発症し、死に至ることすらあるのだ。

巧妙なテレビCM
またサプリを摂る際は薬との「飲みあわせ」も重要になってくる。

「青魚に含まれるDHAやEPAなどは血液を固まりにくくし、サラサラにする作用がありますが、ワーファリンなどの抗凝固剤を飲んでいる人がこれらのサプリを併用すると、出血などの副作用を引き起こす可能性があります。クロレラ、納豆、青汁などのサプリも摂ってはいけません。

サプリといえば、普通カプセルをイメージしますが、たとえば『DHA入りのソーセージ』や『大豆イソフラボンもやし』のように食品形状のものもあります。

国立健康・栄養研究所のHPには、機能性表示食品について『一日の(目安)摂取量』が掲示されていますが、知っている人はほとんどいないと思います。知らず知らずのうちに摂りすぎていて体調を崩している人も多い」(前出の堀氏)

前出の左巻氏も続ける。

「中高年の中には、サプリにおカネをたくさんかけている人がいます。でも基本的にほとんどのサプリには、効果がないと思ったほうがいい。栄養ドリンクで『タウリン1000㎎配合』とか謳われると沢山入っている気がしますが、わずか『1g』ですからね。効果が分からず、しかも微量しか入っていない。これはサプリも同じです」

それでも「人より少しでも健康になりたい」とサプリに飛び付く人が大勢いるのはなぜか――。

それは広告による影響が大きい。

サプリの広告を見ると、あたかも抜群の即効性があるかのような宣伝文句が並ぶ。だがよくよく見ると、決して「効果がある」とは謳っていない。繰り返しになるが、サプリは医薬品ではないため「○○に効く」とは法律上、謳えないのだ。

そこで各メーカーは「それっぽい言葉」を並べ、巧妙に消費者の購買意欲を煽っている。分かりやすいのがダイエット系のサプリである。

「『ブヨブヨお腹がたったの1粒で……』『飲むだけでドンドン落ちる』といった文言がありますが、これは虚偽誇大表示に当たるおそれがあります。

摂取カロリーを消費カロリーが上回らないかぎり人は痩せないというのが専門家の見解です。よくもっともらしい体験談やもっともらしい試験結果が載っていますが、消費者の方は気をつけてほしいですね」(前出の消費者庁担当者)

テレビCMや新聞広告で、有名人が「このサプリのおかげで元気になりました」と満面の笑みで語っている姿をよく見かけるが、画面や紙面の端には小さく「個人の感想です」と、しっかり注釈が出ている。

「サプリの世界は、騙したもん勝ちなんですよね。特許出願とか、学会に発表されたとか、新聞報道されると、すぐそれで権威付けして売るわけです。たとえ効果が仮説段階であっても、メーカーはいかにも実証されたように宣伝することができる。

以前、クルクミンとか赤ワインに含まれるレスベラトロールなどの効能をねつ造したとして、アメリカの大学の教授が自殺した事件がありましたが、会社から研究費をもらったら、その会社にネガティブなデータなんて出せないですよ。売るために法律ギリギリのところでやっているメーカーも少なくない」(前出の福田氏)

このように売り上げを伸ばすために、法律の隙間を縫って「誇大広告」を続けるメーカーが跡を絶たない。しかし、なぜそんなことが許されるのか。

それは「違反しても厳しい罰則がないから」と前出の柴田氏は語る。

「東京都福祉保健局の最新の調査によると、125品目中105品目が表示広告に関する法例違反またはその疑いがあることが判明しています。それだけ誇大広告が多い。

もちろん国も注意してはいるのですが、再発防止を求める措置命令だけで回収や営業停止命令は滅多にない。仮に数百万円の罰金を科せられても、その間に何億円と稼いでいますから、メーカーは痛くもかゆくもないのです」

その結果、ネット通販などでは怪しげなダイエットサプリなどが横行する事態となっている。特に価格が安すぎるものや海外産のサプリには注意が必要だ。

「100円ショップなどで売られている『安すぎるサプリ』はやはり安全面が心配されます。海外の衛生状態がよくない工場で製造されている可能性もあるので、生産地を見てください。栄養素は10%で残りの90%はすべて添加物といった粗悪なサプリも少なくありません」(前出の柴田氏)

ネットで買うのが最も危ない
過去にはサプリによる死亡事件も起こっている。

「中国産のダイエットサプリ『せん之素こう嚢』をネットで購入し、飲んだ女性が肝機能障害を起こして亡くなったという事例がありました。

しかも恐ろしいことに、今度は商品名とパッケージだけを変えて、中身は全く同じものが販売されていたのです。このようにネット販売だとどんな成分が使われているかも確かめることができません。もし何かあった時に確認できるリアル店舗で買ったほうがまだいいでしょう」(前出の堀氏)

パッケージに記載されている成分表示をきちんと確認することはもちろんだが、中には成分表示がきちんと明記されていないサプリもあるので、それらには手を出さないほうがいい。

では値段が高いものを選べばいいかと言うと、そう単純でもない。

「『高いほうが効きそう』という消費者の心理をついて、本当は安い原価の商品を何十倍もの値段をふっかけて販売している業者もあります。

業界の常識では、ほとんどのサプリは原価率が10%以下と言われている。これだけ原価が低いのは、大量の宣伝広告に多額の費用がかかるため。その宣伝費を確保するために原価に大幅な上乗せをしているのです。

値段の高い、天然ものは安全かもしれませんが、だからといって効果があるとは限らない」(前出の左巻氏)

サプリメントは「魔法の薬」ではない――。

「サプリは、高額なおカネをかけて飲むほどのものじゃないと思います。生活習慣の改善をせずに、『サプリさえ飲んでいれば健康になる』と安易に考えるのは大きな間違いです」(前出の名郷氏)

メーカーの甘い宣伝文句に踊らされ、生活習慣を見直す努力を後回しにしてはいけない。




2018年8月28日火曜日

“あるお母さんの名言。「男の子は皆バカでヘンです。ちなみにそのまま大きくなるので、オトコという生き物も基本的にバカでヘンだと思って間違いありません。ちなみに、女の子は意地悪。男女両方を育ててみての感想であり確信です。バカと意地悪が共に暮らす人間社会。いろいろあって当たり前ですね」”

“あるお母さんの名言。「男の子は皆バカでヘンです。ちなみにそのまま大きくなるので、オトコという生き物も基本的にバカでヘンだと思って間違いありません。ちなみに、女の子は意地悪。男女両方を育ててみての感想であり確信です。バカと意地悪が共に暮らす人間社会。いろいろあって当たり前ですね」”

2018年8月13日月曜日

日航123便墜落

『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』
(河出書房新社・最新刊)

https://goo.gl/auvNJY

「日航機墜落事故 米軍幻の救出劇 (米軍パイロットの証言)」
https://www.youtube.com/watch?v=65krBx_Bblg

「日本航空123便墜落事故を検証する」
http://www.link-21.com/JAL123/index.html

などの情報を総合すると、

1985年8月12日に発生した日航ジャンボ機123便墜落事件の全体像が

かなりはっきりと浮かび上がってくる。

元日航客室乗務員の青山透子さんが123便墜落で犠牲になられた方の33回忌に

合わせて、この8月に刊行された上記新著


『日航123便墜落の新事実』
https://goo.gl/auvNJY

には、タイトルにもあるように、墜落に関する新事実が散りばめられている。

ジャンボ機が墜落した直後、長野県南佐久郡川上村に在住する

中嶋初女さんという女性が、午後7時05分に、長野県南佐久郡臼田警察署に、

墜落現場の正確な情報を伝えていた。

「NHKスペシャル 日航ジャンボ機事故 空白の16時間 ~“墜落の夜”30年目の真実~」(2015年8月1日放送)



1時間22分20秒以降の部分

また、米空軍の輸送機U130パイロット、マイケル・アントヌッチ中尉が

重大な証言を公表した。

「当機は、陽が長くなった夏の夕日が沈みかけていたころ、

機首を北北西に進路を取った。

午後7時15分、航空機関士が1万フィート付近で雲の下に煙のようなものが見えるのを

発見したので、ゆっくり左に旋回し、そちらへ方向を向けた。

御巣鷹山の周辺はとても起伏が多かった。

地表からおよそ2000フィートまで降下する許可を得た。

墜落機残骸を発見したのは、あたりはだんだんと暗くなり始めていた時だった。

山の斜面は大規模な森林火災となり、黒煙が上がり、空を覆っていた。

時刻は7時20分だった。」


米軍輸送機は午後7時20分に墜落現場を確認している。

そして、この輸送機が米軍の救援ヘリを視認したのが午後8時50分。

ヘリは地上に救援隊員を降下させようとしたが、

横田基地から「直ちに基地へ帰還せよ」との命令が下された。

救援ヘリは救助続行を希望したが、横田基地は機関命令を下した。

米軍輸送機は午後9時20分に日本の自衛隊機が現地に到着したのを確認して

帰還した。

上記2015年8月15日放送のNHKスペシャルは、

墜落当日夜にヘリコプターで墜落現場を視認した自衛隊パイロットの証言も

収録している。

https://www.youtube.com/watch?v=uq2GkTouyCE


(31分05秒以降の部分)

自衛隊は現地に2機目のヘリコプターを13日午前零時36分に

入間基地から派遣している。

機長の金子正博氏は、このフライト墜落現場を上空から確認したことを証言している。

同時に、陸上からは長野県警の大澤忠興氏がぶどう峠から

航空自衛隊ヘリコプターが墜落現場を上空から確認し、

サーチライトを当てている場面を正確に伝えていた。

航空自衛隊の金子正博氏が墜落現場の報告の際に、地上の警察照明の位置を

「北北西30度4マイル」

と伝えるべきところ、

「北北東30度3マイル」

と誤って伝えたとNHK報道は伝えるが、にわかに信じ難い話である。


自衛隊は墜落後、午前零時36分にかけて、

二度にわたって墜落現場を空から確認している。

米軍は墜落から20分後には墜落現場を確認している。

当局が墜落現場を特定できなかったというのは、完全なフェイク=虚偽情報である。

実際に救援活動が始まったのは翌日13日の午前7時以降である。

この間に一体何があったのか。

そして、なぜ、早期の救援活動が行われなかったのか。

きわめて深刻で深い闇がある。

その闇の正体を多くの探求者が、すでに探り当てているのである。

青山氏の著書はきわめて重大な事実をも発掘している。

群馬県警察本部発行の昭和六十年十月号『上毛警友』冊子が

日航機墜落事故特集号となっており、その122ページに

「日航機大惨事災害派遣に参加して」

と題する自衛隊第十二偵察隊一等陸曹M・K氏の手記が掲載されている。

このなかに次の記述がある。

「八月十二日私は、実家に不幸があり吾妻郡東村に帰省していた。

午後六時四十分頃、突如として、実家の上空を航空自衛隊のファントム二機が

低空飛行していった。その飛行が通常とは違う感じがした。

「何か事故でもあったのだろうか」と兄と話をした。

午後七時二十分頃、臨時ニュースで日航機の行方不明を知った。」

つまり、この日の夕刻午後6時四十分頃に群馬県上空を自衛隊のファントム2機が

飛行していたのである。

同時に青山氏はもうひとつの重要な目撃証言を掲載している。

8月12日午後6時30分頃に、静岡県藤枝市の上空を日航ジャンボ機が

傾きながら飛行し、その約5分後にファントム2機が日航機の後を追うように

北の方向に飛び去ったのを目撃した人物が紹介されている。

日航ジャンボ機が尾翼を失い、この日航ジャンボ機を追尾するように

自衛隊ファントム2機が追尾するという事実が存在した可能性が極めて高いのである。


日航ジャンボ123便の機長である高浜雅己氏は、

異常音が発生した直後に「スコーク77」を発信している。

同時に発した言葉が「オレンジエア」である。

この間に副操縦士が「これ見てくださいよ」と述べている。

その後機関士が「オレンジエア」と発している。

https://www.youtube.com/watch?v=amA1rwyiuAY

ジャンボ機最後尾56G席に搭乗していた小川哲氏が撮影した写真には、

ジャンボ機に接近する飛行物体が映し出されていた。

その飛行物体を専門家が解析すると、円錐または円筒状の物体で

オレンジ色の色味を帯びているもの、

さらに飛行機の方向に接近しているものであるとの結果が得られたという。


コックピットはこの飛行物体を視認しており、衝撃音があったのち、

直ちに「スコーク77」を発信し、その原因について

「オレンジエア」

と表現したのだと思われる。

「日本航空123便墜落事故を検証する」
http://www.link-21.com/JAL123/index.html

は、すべての状況からひとつの推論を提示している。

http://www.link-21.com/JAL123/022.html

「123便に衝突したのはファイヤー・ビーとチャカ2」

分析は次のように記している。

「事故当日、事故現場の相模湾では、相模湾内で護衛艦「まつゆき」が

試験航行していた。すでに指摘されているように、

誘導レーダーの実験演習が行われていて、

123便の衝突したのは実証実験中の誘導ミサイルと考えることは自然である。

ネット上での説は、無人標的機のファイア・ビーが犯人であるとしているが、

ボイスレコーダーに衝撃音が2度あることから、

無人標的機のファイア・ビーとそれを追尾していた誘導ミサイルのチャカ2が

連続して123便に衝突したと考えるべきである。」

「日本航空123便は、離陸から12分後の18時24分、

相模湾上空を巡航高度の7,200mを南西方向に機首を向けて上昇していた。

同時刻に、誘導ミサイルの実証実験をしていた護衛艦「まつゆき」から発射された。

無人標的機のファイア・ビーとそれを追尾する模擬誘導ミサイルのチャカ2は、

高度7000m付近を南東方向の縦に並んで水平飛行していた。

南東に向けて水平飛行していた「ファイア・ビー」と「チャカ2 」は、

南西に向けて上昇中の日本航空123便クロスするように衝突。

先頭を飛んでいた「ファイア・ビー」は、123便の胴体の中央下部に、

「ファイア・ビー」を追尾していた「チャカ2 」は、

1一秒遅れて水平尾翼に衝突した。

この時の衝撃音が、18時24分35秒と36秒の衝撃音。

日本航空123便は、胴体中央下部への衝突で油圧系統が損傷。

さらに、車輪格納扉が落下もしくは開放され、機内は着陸警報が一秒間鳴り、

同時に急減圧による白い霧が発生し酸素マスクが自動降下した。

一秒後に「チャカ2 」は、水平尾翼に衝突して垂直尾翼が落下。

水平尾翼が、進行方向に対して機尾が九の字の跳ね返り、さらに右舷に傾いた。

以降、123便は、直進の際に、機首が上を向きながら右へ傾くようになる。」


極めて説得力のある推論であると言える。

こうなると、ファントム2機が追尾したことも理解できる。

政府、あるいは自衛隊が事実発覚を恐れたとすれば、

現場検証が行われる前に、証拠物を隠滅すること、

別の墜落原因を捏造することなどが必要になる。

墜落原因とされた圧力隔壁は現場からそのまま搬出されなかった。

自衛隊が日米合同の事故調査委員が来る前日の8月15日に

大型電動カッターで5分割にしてしまったのである。

最重要の事故原因検証の証拠物を自衛隊が破壊したのである。


生存者である日航CAだった落合由美氏は、

「墜落の直後に、「はあはあ」という荒い息遣いが聞こえました。

ひとりではなく、何人もの息遣いです。

そこらじゅうから聞こえてきました。まわりの全体からです。

「おかあさーん」と呼ぶ男の子の声もしました。」

「救助ヘリコプターが上空で回っているのがわかった。

手を振ったが気付いてくれなかった。

自分の周りでは数人の子どもたちの声が聞こえたがそのうち聞こえなくなった」

と証言している。

墜落直後には多数の乗客が生存していた。

しかし、救援活動は行われなかった。

救援活動に着手しようとした米軍ヘリは、横田基地の命令で強制帰還させられている。

そして、自衛隊ヘリコプターは墜落直後に2度も墜落現場を確認しながら

救援活動を行わなかった。

さらに、米軍に救援要請もしなかったのである。


そして、より恐ろしい仮説が存在する。

青山氏の新著137ページ以降に記述されている

「ガソリンとタールの臭いが物語る炭化遺体と遺品」

である。

乗員4名と乗客1名の司法解剖を担当した群馬大学医学部の古川研教授が、

「(機体)前部の遺体には損壊や焼損が目立ち、衝撃のすさまじさと

主翼の燃料タンクの火災の影響を受け、焼損遺体の中には部位も

判然としないものがあり、通常の家屋火災現場の焼死体をもう一度焼損したように

見えた(略)」と記述しているのである。

青山氏が元自衛隊関係者、軍事評論家、大学の研究者に質問して得られた結果からは、

次のような証言が得られている。

質問 ガソリンとタールの臭いが充満し、長時間燃える物質、

その結果、人間の体が炭のようになる状態のものは何か。

答え ガソリンとタールを混ぜて作ったゲル状燃料である。

質問 これはどこで手に入るのか。

答え 一般にはない。軍用の武器である。

質問 それはどこにあるのか。

答え 陸上自衛隊普通科歩兵、化学防護武器隊で、

相馬原普通科部隊にもある可能性が高い。

相馬原普通科部隊とは、群馬県北群馬郡榛東村に所在する部隊のことである。


安易な推察や断定はするべきでないことがらであるが、

恐るべき真相が隠されている可能性を否定はできないのである。

松本清張氏が「日本の黒い霧」によって多くのことがらを闇から現実に引き戻された。

私も「平成の黒い霧」を告発し続けてきたが、「日航ジャンボ機墜落事件」もまた、

決して迷宮に送り込んではならぬ重大事案である可能性が

極めて高いものであると考える。